恋と鬼退治
□合宿
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「はーい!じゃあ一人ずつ自己紹介ね」
合宿一日目は講義を2時間ぐらい聞いて少し校歌の練習をしたあと、自由時間になった。
早い班はもうお風呂に入ったり、ロビーで騒いだりしていたが、七々子の班は特にやることもないので皆部屋に集まっていた。
七々子と百化はお風呂に入るまでの間、二段ベッドの上にさっそく布団を敷き、互いの足をマッサージしあっていた。
すると下の方から同じ班の子に“降りてきてー”と声をかけられ、そのまま班皆で自己紹介をすることになった。
円になって集まると、どっち周りに自己紹介する?と、声をかけてきたリーダーが隣に座っていた友人に聞いた。
「左子が皆集めたんだから左回りでしょ」
「そっか、えっと、、錦堂左子です、、右左の左に子供の子で左子。あ、よろしく…」
自ら班のリーダーに立候補したわりにはおどおどしていた。
「なに恥ずかしがってんの〜!あ。はい!闌(たけなわ)ヒナギク!よろしくね〜」
闌さんと錦堂さんはおそらく同じ中学校の同級生だ。入学した時からヒナギクが左子にしよっちゅう声をかけていたのを知っていた。
「じゃあどうぞ」
「二撫七々子、ですよろしくね」
錦堂さんに促されてそう応えると皆から“よろしくねー”と返された。
「美浜、百化」
「樋方琉香、よろしく!」
「大井栄歌…です、、、」
順調に自己紹介をしていたが、最後に自分の名前を言ったその子は突然泣き出した。
「栄歌ちゃん大丈夫?」
人のことを気にするのが大好きらしい錦堂左子がわざとらしく大井さんの肩に手を置いた。
というのも、大井さんが自分の涙の分けを聞いてほしそうにしていたから当然といえば当然だ。
「彼氏が全然LINEの返信くれなくてぇ…うっ…っ」
「送ったのいつ?」
そのまま大井さんと錦堂さんに加えて闌さんもその話をする流れになり、七々子と百化と樋方さんはお風呂に行く準備を始めた。