SERVAMP
□プロローグ
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「真夜ーっ!!猫拾った!!!」
そう言って真昼が両手で差し出してきたのは、小さな、泥だらけの黒猫。
『…飼うの?』
「まあ、そのつもりで拾ったしな。真夜って猫苦手だったっけ?」
『…別に。晩ご飯できてるけど、先にお風呂入ってきな。』
「おう、サンキュ」
平静を装っていたけど、私は心中穏やかじゃなかった。
嬉しいような、なんとも形容しがたい感情がゾクゾクと背中を駆けあがる。
『ふふっ…あははっ…』
抑えきれずに漏れ出す笑い声。
携帯を開いて、すぐに電話。
発信音が数回繰り返された後、聴き慣れた、愛しい彼の声が聴こえてくる。
「もしもし?」
『椿…あのね!怠惰が、見つかったの!ねえ!椿!』
「兄さんが…?それは嬉しい知らせだね!」
楽しそうな、椿の声。
ああ、椿が喜んでくれた。
『私は、次は何をしたらいい?ねえ、椿!椿のところに持っていく?それとも消す?』
椿があまりにも嬉しそうで、私も嬉しくなってきた。
「本当は今すぐにでもあいたいけど…そうだね、また今度…僕から遊びに行こうかな。ありがとう、バレないように気をつけるんだよ、
゛ナナシ″」
『うん、椿。』
私は今、幸せだ。
お風呂から二人が上がってくる音が聞こえる。
さあ、今日も最っ高の演技を、しなくっちゃね。