BIGBANG(ユメ)
□目覚め、そして過去
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よしみ「リンくん!」
ガラガラっと勢い良くドアをあける。
そこには、上半身だけ身體を起こしているリンくんがいて。
おもわず泣きくずれそうになった。
よかった。目覚めてくれた…!
彼はゆっくりとふりむいて、私をみた。
私がベッドにかけよると、ふと考えるように目をそらし、またなにかに気づいたように私に視點をあわせた。
そして、
リン「…あの。あなたが、俺を助けてくれた人、ですよね?先生に聞きました。」
そう言うと、彼は體勢をかえ、正座になった。
よしみ「!だめよ、安靜にしてなきゃ!」
目覚めて3日しかたってないのに、と制そうとしたけど
リン「お禮、言わせてください。本當に、ありがとうございます。」
彼は、深く深く頭をさげた。
なんだかそれでさえ美しくみえて、見とれてしまった。
なんだろう、この子は人を魅了する。
よしみ「リンくん、顔をあげて。」
リンくんは顔をあげると、私の目をじっと見つめて
リン「この恩は、絶対かえします。ここの入院代も…。なんか仕事みつけて、絶対かえしますから。」
よしみ「そんな、別にかえさなくてい「返しますから。」…。」
リンくんの勢いに負けて、私はだまってしまった。
私は、リンくんが笑ってくれたらそれでいいのに。
じっと見つめてくるリンくんは、半年もねてたせいか髪の毛がずいぶんのびて、華奢で、ほんとに女の子みたい。
でも、どこか男らしさを強くかんじる。
自分の意思を曲げない、かっこいい男の子。
よしみ「…わかったわ。でも、とりあえず安靜にしてなさい!ご飯もちゃんと食べないと。ほら、になって!」
そう言うとリンくんはおっきい目をぱちりと見開いて、ふっと笑った。
リン「なんか、お母さんみてぇ」
!!
そーよ私ったら、息子でもないのに図々しかったかしら!
はずかしい…
リン「でも、前の母親よりずっと母親っぽいよ…」
ははっ、と彼は悲しく笑った。
その姿が今にも消えてしまいそうなほどさみしげで、思わず抱きしめた。
リン「…!?」
よしみ「私の名前は渡辺よしみって言います。」
リン「?き、急にどうしたんですか…?」
よしみ「ねぇ、リンくん。辛くなければ、教えてくれない?あなたがなんであんなところで倒れてたのか」