BIGBANG(ユメ)

□3年前
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3年前────

しと、しと、しと

穏やかに雨がふる。俺の体は濡れる。
どーせ降るなら、もっとバァーっと降ってほしい。
俺のこのモヤモヤも落とし流せるくらいに。

俺は、家族からにげてきた。生きるために。
とはいっても、若干18歳のコーコーセイ(留年済)の俺は、マンガであるような大層な不幸話なんてあるわけない。
ただの、家庭内のごちゃごちゃ。
ただ、ちょっと家庭内がヤバくなっただけ。
ただ、あのままあの家にいたら、いつか確実に殺されるってことに気づいただけ。
そんで、急いで軽い身支度して、窓から家出してきただけ。
ホント、たったそんだけの不幸な俺のオハナシ。
まぁ、そーなっちゃったのも、結局俺が悪いんだろうけどねー。
それはまた、別の話。

に、しても。
俺はこれからどーやって生きてけばいいんだ?
俺はチラッと、必要なものを詰めた黒のボストンをみた。
えーと、中に入ってるのは。
制服、その他衣類が少々、ゲーム類、iPhone(イヤホン付)、充電器、財布。そんで、アルバム。
あ、何故かUNOも入ってる。
なんかほんとーに必要最低限ってかんじ。あ、俺視点のね?
財布の中には、ある程度の金ははいってた。
俺の全財産詰め込んだからなー。

さぁーて、俺のこれからの人生〈いのち〉握ってるのは、この黒のボストンのみで。
家には、もう帰れないし。
ほんとどーしよ。まさかの野宿とか?(笑
それはそれで、楽しそうだけどな。まぁ楽しいのも、せいぜい2日だろうがな。

俺はいく宛もないし、とりあえず自分の家だった場所からできるだけ離れようと、行ったこともない道を歩いて行った。
できるだけ、人目を避けて。
だから、必然的に俺の足は、路地裏とか細い小道とか、小さいコが「探検だー!」とか言って喜びそうな道をすすんでいく。
ひたすらに、ひたすらに。


歩き始めてから、どれくらい時間がたっただろう。
もはや、自分がどこにいるかなんて、全くわからなくなった。
まぁ、iPhoneで調べたら一発だろうけど、そんなことはしたくない。
なんだか俺は、だんだんワクワクしてきたようだ。
てきとーに歩いていくと、自分がどんなゴールにたどり着くのか、少し楽しみなんだ。
そんなことを考えつつ、やっぱり俺は進んで行く。
後ろは振り返らない!って、なんかかっこいくね?(笑


今、時間なんじくらいなんだろ。空がしらんできた…。朝?なのかな?
それにしても、おそらく結構な時間たってる(だろう)なのに、不思議と腹はへらない。喉もぜんぜん渇かない。でも、体力はだんだん無くなってきた。
変だな、俺スタミナは結構あるほうなんだけど。
それに、なんだか体がつめたい。
頭も、クラクラする。
なんでだろなー。
……あぁ、この雨のせいか。
やっぱり、11月の雨は冷たい。

しとしと降ってる雨が、どんどん俺の体温を奪ってく。
あ、れ。これって、ヤバイかんじ?
自分がどんどん冷たくなるのを感じる。
やべ、これ、死亡フラグってか?
せっかく生き延びるためにわざわざ家出てきたってのに、その結果が、コレが、俺の、ゴールだってのか?
…つまんねぇな、俺のジンセイ。
逃げてきて、雨にぬれて、ぶっ倒れて、ゴール迎えるなんざ。
ま、所詮こんなもんなのか。
やっぱり、俺は神サマに嫌われてんだな。

俺は、こんなとこで倒れたら、道ゆく人の邪魔になる、とかどーでもいい事を考えながら、そばの路地裏を進んで行き
そして、倒れこんだ。
もう、痛みも感じねぇ。
…………
もう少し、行きたかった。
俺の道の先へ。
とーる。約束、守れなくて、ごめんな。
でも、やっぱりムリだったんだよ。俺は、幸せに生きちゃいけねーんだよ。


…だんだん意識がうすれてく。
さっきより、あめがつよくなった。
おれのからだを、あめがようしゃなくおそう。
だけど、それにあらがうちからはもうなくて。
おもいまぶたを、ゆっくりととじた。
そのあと、そうまとうってやつがざぁーーーっとながれた。
いろんなことがあったなぁ、と、ジンセイをふりかえってた。
…ばいばい、みんな。
そして、おれはいしきをてばなした。
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