短編

□朝日
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ベランダでタバコを吸っていた春が
部屋に戻る。
窓から差し込む朝日を浴びて
くあっと小さな欠伸を。
ただそれだけなのに──

その色気ごと、
すべて独り占めしたい。

少しだけ冷たい胸板と
いつもより早い鼓動。
腰に回る逞しい腕と
耳に吹き込まれる甘い声。

どうか今だけは私だけの、春でいて。



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