【メシア】

□no.2 
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未だ鳴り止まない警報音の中、放送された通り校庭付近へと集まる三人。少し遅れて同じようにして残っていた先生方数名と
校長が姿を現した。大まかに辺りを見回しているも、敵の姿は見当たらない。
既に移動したことも視野に入れ、校長の提案によって各自手分けして搜索することになった。
相澤は校庭の突き当たり周辺を警戒しながら見回る。
敷地の側面のここはフェンスで囲われたさらに内側から、視界を遮るようにして木々が植えられている。
死角も多く敵が潜むにはうってつけだろう。
ーーそれにしても、休暇で人も少ない今は普段よりも警備レベルが高い。
入り口のセキュリティーも厳しく設けられているはずだが、校庭まで気づかれずに侵入を許すとは・・・
一体どんな個性だ?と考えを巡らせる。

「・・・・!」

すると、目前。茂みの間からなにか白いものが覗く。
首に巻いた捕縛武器を静かに解き、個性を発動させ一気に間合いを詰めた。
視界に飛び込んできたものはーーー

白と赤

「なっ・・・」

異常なほどに白い肌、それと同等の流れるような白髪にたっぷりとした長い睫毛。
着ている服も純白のワンピース。しかしその純白を破壊するかのようにぶちまけられたのは赤、赤、赤・・・・
全身いたるところに傷があり、その中でも特に背中から臀部にかけて、そして脇腹は大きく抉られている。
咄嗟に駆け寄り脈を測る。僅かではあるがまだ息があった。同時に辺りを経過する。
敵の気配はないが、一刻も早く立ち去らねばならないだろう。
そう判断した相澤は連絡を回すよりもこの少女を保護することを優先した。
意識のない少女をいたわるよう、傷に触らぬようにと細心の注意を持って抱き上げる。
回した腕にじわじわと生ぬるい液体が侵食し、それが傷の深さを物語ってる。

「死ぬなよっ・・・」

絞り出すように紡がれた言葉。意識のないはずの少女がわずかに動いた気がした。
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