赤鬼作 歌詞

□私のアール
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遥香side

覚悟は決めた

心臓が脈打つように早くなっていく

怖くない。怖くないはずなのに。

どうして・・・



私の心はこんなにも苦しいのだろう?

────
扉を開けた瞬間、勢いのある外の風に制服が膨らみ髪が宙を泳いだ

多少乱れてしまった髪を軽く整え横髪を耳に掛けた

真っ青な空とは裏腹にどす黒くドロドロとした汚れが心にはまとわりついている

でももう、おしまい。

何もかも、この世界から全てをお終いにできる。

終われる。逃れられる。

靴を脱ぎかけた時、屋上のふちに座る女の子の姿が見えた。

あぁ、コノコも飛び降りるんだ
そう思った瞬間


「ねえ。やめなよ」


口をついて出ただけ。

本当はどうでもよかった、なんとも思ってなかった。

強いて言うのなら、私の先を越して逝くのが癪だった

ただそれだけで止める気なんてサラサラなかったはずなのに

「なんで死ぬの」

今日は風が強いみたい

私の髪も三つ編みもふわっと大きな風にたなびいている

屋上のふちに座る三つ編みの女の子はこっちを見ること無く語り出した

まるで私なんて目に見えてないように

「あの人は・・・きっと運命の人だった。
どうしても愛して欲しかった・・・」

その言葉を聞いた瞬間、私の何かに火がついた

ただ、与えられなかっただけ?手に入らなかっただけ??

「ふざけんな!!そんな事くらいで?!たったのそんなちっぽけな悩みで、あんたは死を選ぶの?!」

まだ三つ編みの女の子はこっちを向かない。振り向かない。

振り向いてよ、この言葉が届いてよ

「欲しいものが手に入らないだけなんて!!ばっかじゃないの?!?

大切な人を、奪われた事すらないくせに!!」

ねえ?

まだ届かない?

まだ響かない??

やめなよ。死ぬなよ。

やめてよ。死なないでよ。

「ははっ・・・そっか、そうだよね
話したら楽になった。ありがとう」

ハッとした時にはその女の子はもう居なくて。

風にたなびく髪と、真っ青な青空と、何故か泣いてる私が屋上に取り残されていた。

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