リク込み長編
□ロウソクの灯(アカシ・第1章
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《始まりの花びら》
空からふって来た、薄ピンクの綺麗な桜が由依の真新しい制服の肩にそっと降り立った
由依が後ろを向いた時の風でまた、空の旅へと出かける。
「由依ー!!」
彼女を呼ぶ元気な声があたりに泳いでいった
「ん?なんや??」
ここ、埼玉では珍しい、特徴的な京言葉が皆の視線を一際集めさせた
「入学おめでとー!」
中学の頃、同じ学校だったのか2年の先輩からちやほやと高台にのせられてる
だが由依はその高台で踊るわけでもなく、笑顔だった顔が一瞬で曇り、隣の女性と、握る手に力が入った
「ありがとうございます。そろそろ教室に集まらなあかんらしいんで、いきますね」
時計の針は15を指している。まだ急ぐ時間じゃない。
ぶっきらぼうにそう言いのけ、引っ張るようにその女性と校内へ入っていった
「ゆ、由依??」
今日初めて喋った隣の女性は、困ったような怒ったような複雑な顔だった
「ん?」
由依よりかは髪が長く色白の肌には透き通った透明感がある。
大きな瞳に小さな鼻。いっけん見ると美人さんに変わりは無いのだが、その人見知りが人を寄せ付けない
「ん?じゃないよ。先輩だよ?バスケの先輩じゃないの」
またムッとした顔になる由依。
その眼を真っ直ぐ見つめる女性との間に重苦しい雰囲気が流れた。
「ふふっ遥香は気にせんでええねん。あの人らとは別になんてない関係なんやから」
遥香と呼ばれたその女性の顔はまだ不満そうな顔だった。