リクエスト作品

□嫉妬部長
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おたべside

このふんわりとした髪の毛は学校で結んでる時とまた違う、雰囲気を醸し出してる

綺麗な寝顔をそっと撫でてうなじに唇を寄せた

「そういうのは帰ってからにしてくれるか・・・、見るのも毒だ・・・。」

後ろからぼそっと声が聞こえてびくっと体が跳ね上がる

「なんなよソルトか・・・、
ごめんごめん我慢ならんくなってな」

にこっと笑っても何の反応も示してくれやんくて、眉が少々下がってくる

「そうか・・・愛され者だなカミソリは・・・」

そう言って近付いてくるけどカミソリを触るわけでもなくて、ただ私らの前に立ち尽くす。

「そりゃまあ・・・幼馴染みみたいなもんやからな、こいつは」

確かにあたしはカミソリが好きや

妹と姉みたいな関係で昔っから育ってきてるから、人一倍思いが強くなるのは当たり前で・・・

って何言ってんのやろ。

「幼馴染み・・・か・・・。上手く行くといいな」

この時、心無しかソルトの顔が曇った気がした

「うん、そうやな・・・振り向いてくれたらええんやけど」

でもきっとこいつがあたしを思ってくれる日はないやろ・・・

だってこいつは相方がちゃんとおるもん。

お互いを思い合う相方なんかあたしには・・・

おらんから。

「こいつの・・・どこが好きなんだ?」

珍しいな・・・あんたがそこまで人に興味示すとか

「うーん、なんやろ・・・分からへんな、好きな人ほど好きなところって分からんやん?」

笑いかけたらソルトもはじめて微笑んだ

「そうだな・・・確かに私もあんたの好きなところ・・・分かんねえな・・・」

ソルトが何か言ったような気がして首を傾げてみてもそっぽを向かれる

「羨ましいよな・・・人に愛されるって」

そうとだけ言い残してソルトがあたしらの前から去った

「なんや起きてたんか・・・」

そうと思いきやカミソリがたぬき寝入りやもん

ほんまホトホト困ってまうわ。

「ありがとう、私を好きで居てくれて」

なっ

顔が真っ赤になっていくのが鏡を見やんでも分かった

だって

そこまで聞かれてたとか・・・

「私も好きだよ、由依のこと」

ぎゅっと抱きしめたら力強さが返ってくる

「これで・・・これで良いんだよ・・・。おたべが幸せならそれでいいんだ・・・」

この時影でソルトが見てたんはこの先もずっと分かる事はなかった

視線に気付いてたのに無視し続けた私はなんて愚かやったんやろう。

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