リクエスト作品
□優しさ
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ゆいはんside
「由依・・・大丈夫??食べないの?」
「ねえ由依?、聞いてる??」
肩をぽんっと叩かれてハッとした
「へ・・・」
「へ、じゃないよ、大丈夫?」
お皿のしたには脱走したご飯やらおかずやらが散乱してる
「だ、大丈夫・・・」
「そう・・・?」
そう答えても、チラチラとこっちを伺ってくる
今日は・・・
ちょっと疲れたかな・・・?
────
「ぱるる、先お風呂入ってきな」
あえて目は合わさん・・・
一緒に入らないの?ぱるるの目線がそう伝えてきた
「うん・・・わかった・・・」
ぱるるがお風呂に入ったのを見計らって今日あったことを思い出す
言われたこと、注意してもらったことをまとめるひとりっきりの反省会
今日は握手会でいつもより心無いことを言ってくる人が多かった
握手はしやんとわざと悪口言って帰っていく人が多いっちゅうことや。
そう考えてたら知らずのうちに胸が締め付けられて目頭が熱くなってくる
ぱるる行かせて正解やったな。
ポロポロと流れる涙を拭うのも忘れてただ1点をずっと見続けてた。
─
「い・・・ゆい・・・由依??」
え・・・??
目の前には眉をさげたパジャマ姿のぱるる
自分の体制から、机につっ伏して寝てたんやって悟る
知らん間に泣いてて知らん間に寝てたらしい
疲れ、って怖いな・・・
「お風呂から上がったら寝てるんだもん・・・疲れてるの?」
大丈夫、そう立ち上がろうとした時。
ふらっと体制が崩れてぱるるに体を預けるような形になった
「由依??お風呂・・・今日はやめとく?」
こくんって頷いてあたしのベッドに寝かせてもらう
いい歳して情けない・・・自分は無力やな、って思い知らされる
「無理は駄目だよ?」
そんな困り顔の優しいぱるるに対して頷くってことしか出来やん
「じゃあ先寝といて?私ちょっと用事済ませたら寝るから」
掛け布団と毛布を交互に肩までかけてくれて、じゃあねなんて微笑みながら電気を消してくれる
なにからなにまでやってもらってアホみたい・・・
そんなどんよりと暗い、気持ちを残したままドロドロと黒く溶ける意識に飲まれていった
────
次に目を覚ましたんはぱるるが寝室に入ってくる1分ほど前
なんでか目が覚めて、もう理解したことやのに涙が溢れてくる
ひとりで声を押し殺して泣いてたら、良いタイミングなんか悪いタイミングなんかぱるるが入ってきた
「起きてるの・・・?」
「・・・るるっ・・?」
ぱるるの方には背をむけてるから表情はわからんけどきっと・・・
困った顔してる
あたしをはげまそうと考えてくれる
「今日は・・・寝ていい?」
ポンポンって掛け布団を軽く叩かれてそう問われる
「うん」
ひとこと言えばゆっくりとした動作でぱるるが布団に潜り込んできた
それでなんも言わんと背中側から抱きしめてくれる
「なにがあったのかは分かんないけど・・・、私はずっと由依の味方。だから溜め込まないで・・・無理しないで?お願い」
ひとつひとつの言葉を・・・、単語に意味を込めてしっかりとした口調で伝えてくれる
なあ?なんでこんな優しいん?
あたしは・・・
こんなにも情けないのに