リクエスト作品
□小さな光
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遥香side
ちらりと時計に目を移せば、まだ保健室で寝込んで15分ほどしかたっていなかった
口元に当てていたビニール袋をそっと枕元においた。
今日もまた、授業のひとつやふたつが受けられない。
もう・・・慣れちゃったよ・・・。
この黄ばんだ天井も、体臭がこびりついた布団も締め切られたカーテンも。
私は生まれ持っての喘息で激しい運動が出来ない。
でも体育をしなきゃいいって問題じゃなくてそれは突然、時を問わずやってくる。
こんな嫌に苦しく切ない時間も貴方がいれば楽なんだ。
そう思った瞬間、まだ制服にも着替えてない状態の彼女の姿がカーテンの隙間から覗いた
ゆっくりとカーテンのはしがめくれるのが分かって、軽く目をつむった
由依と会うときはなんだか気まずくて・・・狸寝入りってやつ。
「寝た・・・?」
特徴的で、私の大好きな京言葉に耳がぴくりと反応した
「ふふ・・・寝てもたんかな」
私の嘘寝に気付いてか由依がにっこり微笑んだ
乱れた掛け布団を肩まで被せてくれて、ベッドにだらりと垂れ下がってた腕をちゃんと布団のなかに収めてくれる
そんな優しい由依が大好きで辛い。
由依にはもう愛する人がいるのに私は貴方しか見れてないの。
貴方を目で追って彼氏の話に胸を痛めて笑って話を聞いてあげる
ねえ・・・もう疲れちゃった。
偽ったままなんて無理だよ・・・
だって私は、
由依が好きなんだもん。