赤鬼作 短編集
□動揺
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ピースside
「ハハハ」
パルがこのプリズンにきて1ヶ月
あんなに険しい顔で人を寄せ付けなかったパルも少しは笑うようになった
「どうしたの?」
顔をのぞきこめばクシャっとした笑顔でウルセーヨたちの方を指さした
「名無しがウルセーヨのことゴリラって言った」
「うるせーよ!いちいち掘り返すな!」
見てみれば首根っこつかまれてる名無しの姿
「隣、座っていい?」
こくんと頷いたパル。その横に軽く腰掛けた
「ありがとな」
パルの方に目を向けたらパルは真っ直ぐ前を見つめて口を開いた
「私が今笑えてるのは・・・ピースのおかげだ。ピースが隣で支えてくれたから今の私がいる」
その言葉には胸が強く締め付けられた
だって私は裏切り者なんだもん・・・
「ピースのおかげだよ・・・ありがとう。好きだよ」
こっちを見てあのむじゃきな笑顔を向けてくる
「こちらこそありがとう。私はパルのこと大好きだから」
私はパルたちの裏切り者。
でも・・・バレるまで私は、[ハブのピース]として生きていいかな?
素直な感情で居ていい?もうすぐ離れてしまうんだから
今ぐらい・・・
本当の気持ちを伝えたかった。