赤鬼作 短編集

□こっちを見て
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おたべside

別になんて理由はなかった・・・

いや強いて言うならむしゃくしゃしてた。

無性に腹たってて、らしくなくて・・・。

ソルトが悪いねんソルトが・・・

そんなん思ってたら丁度部室にソルトだけがおった
ブラインドをかすかに開けて、小さな隙間から外を覗いてる

誰を見てるんかはきかんでも分かるから・・・

余計・・・腹立つやん

「ソルト?」

「なんだ・・・」

話しかけてもずーっと背中を見せて振り向いてくれやんし素っ気ない態度やしで苛立ちはつのるばっかし

「っ」

強引に肩を掴んでこっちに振り向かせた

「おたべ・・・?」

腰に手を回して力強く引き寄せ、唇を重ね合わせた

「ん!?」

離れようとするソルトの体を抑えて、唇は重ねたまま。

息苦しくなってきたんか胸元を拳で軽く叩かれた

引き寄せてる力を少し弱めれば、ゆっくりと離れていく

でも全部離れるわけじゃなくてあたしの腰にも手を回して抱きしめ返してきた。

それで首筋らへんに顔をうずめて甘えてくる

なんやねん、ソルトが急に甘えるとか・・・反則やろ。

「変だぞ・・・どうした?」

ソルトこそ、言いかけたけどその言葉は飲み込んだ

「あたしだって・・・妬くもん・・・」

「さくらの事か?」

コクって頷けば馬鹿にしたような笑い声

「真剣やねんけど?」

「おたべが妬く・・・か・・・。そっか・・・」

しみじみ微笑みながらうなずいてる。

なんやねん、ほんまに・・・

「でもさ・・・キスよりも言葉で伝えて??」

瞳を見つめてくる。

ほんまに調子狂う

「あたしだって・・・人の事好きになってもええやろ・・・」

不器用なあたしの必死のアピール

鈍感なみにとらえてよ・・・

アホ・・・。

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