赤鬼作 短編集

□てっぺんの和解
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センターside

前田から・・・おたべから部長を託されてもう2ヶ月が経とうとしていた

おたべは託したからと言って別にラッパッパを辞める気はないらしい

今のラッパッパにおたべの力は必要だから、それはそれで嬉しい話なんだが────

夕方頃、ふと部室に入ると珍しくおたべの姿があった

「ん?まだ帰ってへんかったん?」

「あんたもな・・・どうした?」

首を横にふって、安心しろとでも言わんばかりに微笑んだ

「なんもあらへんよ・・・」

最近のおたべは・・・どこか無理をしているように見える。

顔も酷くやつれてて、目の下のクマが更にそう見せる

無理矢理、笑顔作って、無理矢理、拳握って何を隠してんだよ。

「じゃあーもう帰ろっかな」

元気よく、ソファーから立ち上がったおたべはまるで糸の切れた人形のように崩れ落ちた

「おたべ?!」

いきなり倒れたおたべに、びっくりしたけどおたべ本人もびっくりしているみたい

「なんでやろ・・・力入らへん・・・」

ははって、笑ったおたべだけど、まだ横に倒れたまま

「大丈夫か?」

手をそっと差しのべるとぎゅっと握ってくる

「いけるいける・・・」

ぐっと引き寄せて、肩をかし立ち上がらせた

「送っていくよ、歩ける?」

「ひ、ひとりであるけるよ」

なんで何も言ってくれないんだよ頼ってねえのかよ・・・信じろよ。

「何隠してんだ・・・」

「え?なんもないよ」

「私に言えないのか?そこまで信用してねえのかよ」

困ったように眉が下がったおたべ。

そりゃ困るよな・・・こんな事言われたら

「それはちゃう、迷惑かけれんから・・・」

「迷惑?なんだよ、そんなの気にする仲なのかよ。もっと頼れよ、愚痴も吐けよ、私らは仲間なんだろ?」

目をまんまるにさせてたおたべもふふっと笑って持たれてきた

「肩・・・貸してくれる?」

「ネズミには内緒だぞ?」

「おおきに」

まるで私を求めた子のように、ぐりぐり頭を押し付けてくる

やっぱりおたべもまだ1人の【子供】なんだ両親の事情上ちっさい頃から甘えれてないよな

────
スースー安らかな寝息を立てて、ころりと寝てしまった。

この綺麗な寝顔と真っ白な真面目さ、全てを包み込んでくれる笑顔が私たちを和ませてくれる

私たちは必要としてるんだ

おたべを演じている横山由依と言う存在を。
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