赤鬼作 短編集

□不器用ベイビー
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李奈side

「だって!そるとが!!」

「おたべがわるいんだろ!!」

ポコポコ、そんな擬音が似合うぐらい弱々しく可愛らしい殴り合いの喧嘩が繰り広げられる

こんなの日常茶飯事の出来事だから皆しれっとした顔で静かに絵を描いてる

「はいはい、二人ともどうしたの?」

「そるとがゆいがつかってたくれよんとったんやもん!!」

「はるかのくれよんなんだしいいだろ!!」

確か昨日は、ブランコの取り合いで喧嘩してたっけ?

この二人はいつも喧嘩していつも殴り合ってるのに、毎日一緒に遊んでるんだから・・・
笑っちゃうよ。

「喧嘩しないのー先生の貸してあげるから、ね?」

「はるかのがええもん!」

「どうして?」

そう聞けば照れたように顔を真っ赤にして、もじもじと喋る

「はるかのやから、はるかのくれよんやからつかいたいん!!」

ってなぜか逆ギレされちゃう。

「ゆい・・・、しょうがないなーかしてやるよ」

そう言ってクレヨンのケースごと由依ちゃんに押し付ける

「ありがと、いっしょにつかお?」

「うん!!」

あとで完成した絵を見てみればお互いの絵を描きあってる、可愛い絵。

遥香ちゃんのほんのり茶髪な色も由依ちゃんの綺麗な漆黒色も細かく表現されてて・・・

ほんと、あのふたりって見ていて和んでくる

相思相愛なくせに素直じゃなくて、喧嘩しても嫌われたら?、ってすぐ不安になって・・・

愛情表現が下手なふたりはいつも喧嘩ばっかり

でも知ってるよそれが精一杯の愛情表現なんだって。

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