Splatoon

□シオカラ節
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アオリside

「アオリちゃん、はい、あーん」

パクッとくわえようとすると、ニヒヒなんて子供みたいに笑ったホタルちゃんがポテトを自分の口に運ぶ

「もう!さっきからそればっかじゃん!」

「アオリちゃんのお願いは「アーンして欲しい」よ?別に食べさせて欲しいとは言っとらんやろ?」

筋が通ってるようで通ってないような曖昧な返事が返ってくる

「むむむ・・・もう1回!」

「懲りやんな〜、はい、あー」

言い終わらないうちにパクッとくわえる

「あっ」

「へっへっへ!どーだ!」

不服げなホタルちゃんにドヤ顔をする

「アタシ言いきらんうちに食べたから今のは無し!」

「いーや!ホタルちゃんの言い分だと「1本でも食べれたらトマトをたべる」だったよ!!ホタルちゃんがトマト食べる番!」

見るからにゲッとした顔になった

「いやマジそれは勘弁、トマトとかないわ〜」

「無いわ〜じゃなくて約束だから!!」

なんやかんやで話し込んじゃったけど、今アタシ達が居るのはシオカラ地方のシオカラ祭り

浴衣姿に身を包み、ホタルちゃんに念願のあーんをしてもらってる所でした

「あー!ほたるちゃん!あおりちゃんだー!」

「お〜久しぶりだね〜」

シオカラ地方の楽な所は、ハイカラシティと違って名前や姿を隠さなくていい所

まだデビューする前めんどう見てたインクリングたちとこうやって普通にじゃれ合える

「なにやっとるのー?」

「ん〜なんもや「イチャイチャしてたの!」

ホタルちゃんを遮るとジト目で睨まれる

「別に嘘じゃないじゃん」

笑い飛ばすと大袈裟なジェスチャーでやれやれとされた

「ふたりやっぱりなかいいんだね!」

まだ人型になれてない幼生がキャハハと笑う

「ホタルちゃんアタシの事好きやかんねー!」

「違うっしょ、アオリちゃんがアタシの事好きなんよ」

へへんっと腕を組んでニヤニヤしてるホタルちゃんの鼻をぎゅっとつまんだ

「な、なにやっへ!」

「お馬鹿なお口塞いじゃうのは可哀想かなって」

空気を求め必然的にホタルちゃんの口が開かれる

その間にカップサラダに入っていたトマトを放り込んだ

「なっ!!」

「ちゃんと食べなきゃダメだよー?」

ホタルちゃんの目が今度は鋭くアタシを睨んだ

「ほら早く!」

「うう・・・」

苦々しげにホタルちゃんの八重歯が隠れる

ゴクッと音を立てホタルちゃんが熟れたトマトを飲み込んだ

「はぁ・・・食べたよ・・・」

「おお!食べれたじゃん!偉い!!」

ホタルちゃんの髪をポンポンっと撫でた

いつものホタルちゃんならすぐに手を弾きやめてと言っただろうけど、今日のホタルちゃは違う

気持ちよさそうに目を瞑り大人しく頭を差し出してる

シオカラ地方に帰ってきたホタルちゃんはいつもこう

ハイカラシティにいる時はツンと糸を張りどこか大人びた風貌のホタルちゃんだけど、シオカラ地方に帰ると急に子供らしくなる

「あ、そろそろちびっ子民謡大会始まるけんね、前行こ〜!」

昔小さい頃アタシとホタルちゃんはこの大会で優勝した事がある

「懐かしいね」

手を引かれ最前列に腰を下ろす

浴衣の裾を仰ぎ風を通した

「ひゃーあっついね」

「こらアオリちゃん、女の子がそんな事、はしたないやろ」

そういうホタルちゃんも胸元をパタパタしてる

「あー!ほらシー!始まるよ」

人差し指を唇に当てへへへと笑った

まだ何か言いたげなホタルちゃんを横目に懐かしいメロディが大きなスピーカーから流れ始めた

和楽器のお腹のそこにまで響く音楽、それに合わせ子供たちのシオカラ節が風に乗る

しばらく黙って音色と歌声に耳を委ねた

曲が終わり辺りを拍手が包み込む

小さなインクリングたちが背伸びをしながら深くお辞儀をした

「可愛かったね」

ホタルちゃんの方を向くと、振り返ってるようなどこか遠い目で野外ステージをみつめていた

「ホタルちゃん?」

「アタシらも、昔あんな感じやったんかな」

「え?」

歌うのが好きで、よくホタルちゃんと歌を歌っていた

ちびっ子民謡大会エントリー者募集。のチラシを手にホタルちゃんと歌の練習を繰り返し、舞台に立ったのを覚えている

あの時から、アタシは人前で歌を歌うのが好きになった。

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