Splatoon

□未完成体
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ホタルside

目を覚ます

いつも通りの朝

え・・・、いつも通り・・・?

「アオリちゃん?」

右隣を見る、アオリちゃんが居ない・・・

「アオリちゃん?!」

慌てて四つん這いになり、辺りを探す

何かを踏んだような柔らかい感触と「キュウゥ」と言う鳴き声がした

「もしかして」

ガバッと布団をめくった

布団の中でぬくぬくと眠っていたのはイカ状態のアオリちゃん

「もう・・・驚かさんといてアオリちゃん」

何度か軽く体を叩いてアオリちゃんを起こした

「アオリちゃん起きて、遅刻してまうよ?」

ピンクイカの目がゆっくりと開かれた

「おはよアオリちゃん、はよ人型に戻りいな、時間ないよ」

ベッドから下りてスリッパを履いた

振り返るとまだアオリちゃんはイカ状態のまま

「アオリちゃん??」

目を大きく見開いたピンクイカが何かを伝えたげにベタベタと飛び回る

「はよ人型に戻りよ?」

そのアタシの言葉にピンクイカが「きゅう!」と鳴く

「え?」

飛び跳ねながらクルクルと回ってみせるアオリちゃん

「もしかしてアオリちゃん・・・戻れやんの?」

長い沈黙が流れる

ピンクイカは申し訳なさそうにしょんぼりと俯いた

「え、待っ、それどういう事?!
えなんで、なんでそん、え?!」

こんな事生まれてこの方初めてだ

焦って部屋中うろうろ歩き回る

「アオリちゃん、喋れる?」

また深くどんよりと俯いてしまう

「アタシの声は分かっとるんよね?」

そう言うと少しだけ顔が上げられる

「取り敢えず病院連絡しよっか、あと事務所」

手を動かそうとして、今日が日曜日だった事に気付く

「あっ、アオリちゃん・・・すまん、今日日曜日や」

ガガーンと暗くなるピンクイカ

表情がコロコロ変わるのがなんともアオリちゃんらしい

見てて面白い、とか言ったらアオリちゃんは絶対怒るから敢えて言わんとく

「そんな状態で1人に出来やんし、今日アタシもオフ貰っとくわ」

その一言にアオリちゃんがパアッと表情を明るくする

「なんよ〜嬉しいん?」

からかうつもりで言ってみた

帰ってきたのは「キュウ!」って楽しそうな声

あーもう、調子狂う

冗談で言ったのにこうも素直に喜ばれたら逆にこっちが恥ずかしいっての

「ご飯とかは食べれんのよね?イカ状態って事は赤ん坊状態って事やし」

ちなみに余談だけど、インクリングの成長は大きくわけて三つになる

生まれて間もないイカ状態
幼生と言われる半人型状態
完全に人間の形に変わる事が出来る人型状態

アタシ達は特別人型になるのが早くて、幼生と赤ん坊の期間は他のインクリング達より短い。

けれどまさか17になっていきなりイカ状態になるなんて誰も予想だにしなかっただろう

「アオリちゃん?」

急に静かになったと思ったらアオリちゃんの姿が見当たらない

「アオリちゃーん?」

あいつ・・・絶対この状況楽しんでるな・・・

アオリちゃんの事や「久しぶりのオフなんだから遊ぼー!」きっとそう言いたいんやろう

「もう・・・隠れんぼかいな・・・んじゃ30秒数えるからね」

ひとつふたつと数を数えていく

イカ状態なのに音一つとしてしない静まり返った部屋

「27…28…29…」

30、言いかけた瞬間何かが服に滑り込んできた

「なっ?!ちょ!何やってんねん!!」

慌てて引き剥がそうとしたけど、背中を腕に回して吸盤でくっつき離れようとしやん

「アオリちゃん!あほ!」

軽めに背中を叩いたらアオリちゃんが襟首の間からニヘッとなんともとろけた笑顔を見せた

ああやっぱり調子狂う!!

不覚にも可愛いなんて、キュンとしたなんて・・・

「たまには・・・えっか」

抵抗するのを諦めてソファに座った

アオリちゃんはまだ背中に腕を回してお腹に座ってる(勿論服の中

「へへへ、ホタルちゃんいい匂い!」

「ばか、恥ずかしい事言わんの」

胸の間に顔を埋めにへらと笑って見せてくる

たまにはいいよね。

たまにはこうして甘やかしてやろう、久しぶりのオフなんだから。



ん?ちょっと待て、アオリちゃん今喋った。

イカ状態やのに?

イカ状態・・・?

「アオリちゃん?!」

「幼生になれたー!」

このまま行けば今日中には人型に戻れるだろう

嬉しそうにニコニコ笑ってアタシを抱き締めるアオリちゃん

懐かしいアオリちゃんの姿にほんのり笑ってアオリちゃんを抱き締めた。

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