Splatoon

□イカ、よろしく
1ページ/1ページ

アオリside

「よろしくお願いします!」
「よろしくで〜す」

朝の9時、1日の1番最初の仕事は大体がここ、ハイカラシティのハイカラニュース

まだ若干眠気混じりのホタルちゃんと、朝に強いアタシとの、対照的な挨拶も日時でスタッフさんたちの朗らかな挨拶が返ってくる

「ホタルちゃん、起きてる?」

「起きとるよ〜」

こっくり船を漕ぎながら、台本をバサッと落としたホタルちゃん

「起きとらんね、ホタルちゃん」

「シオカラーズさん、本番10分前です!」

その声を聞きホタルちゃんの瞼がゆっくりと持ち上げられる

「ん〜アオリちゃん今日の台本どれ?」

「え、今から見て間に合う?」

ホタルちゃんの分の台本を拾い渡した

「アタシを誰やと思っとんの」

「お寝坊さん」

なんて言ったけど確かにホタルちゃんは仕事が早い

まったりして、とろいように見えるけど、切り替えが早くてダンスも歌もアタシより覚えるのが早い

それも完璧に覚えちゃうんだから全くホタルちゃんには参っちゃうよ

「本番五秒前、四、三、二」

ちらっと隣を見る

さっきまで目を開けるのさえ出来ないってボヤいてたホタルちゃんがぱっちり目を開けている(タレ目だけど)

やっぱり切り替えが早いよこの人は(イカだけど)

「こんにちはー!ハイカラニュースの時間だよ!!」

「こんちゃ〜」

いくら目を覚ました所でこの寝ぼけた口調は変わらないらしい

「イカ、よろしくー!」
「イカ、よろしく〜」

1度休憩が入った

ハイカラニュースは基本的撮りだめ放送

こうして休憩の後はミニコーナーの収録をしたり、雑談コーナーを開いたり

自由なシオカラーズが務めるだけあって、基本的自由でのんびりしているハイカラニュース

「ホタルちゃんやっぱり台本覚えとったねー」

カットが入った途端机に腕を伸ばしくつろぎはじめた

「ん〜まあね〜」

それからは何も喋らなくなってしまった

なーんだ、つまんないの

「寝ちゃうの?」

「目瞑るだけ〜」

アタシも同じように腕を伸ばし、腕に頭を起き寝そべった

伸ばした手がホタルちゃんの指に触れる

白く細い指、綺麗だなぁ

なんとなく、ゆっくりと指と指を絡めた

ホタルちゃんの方からも深く指が絡められる

ガラス張りのスタジオの向こう

携帯を持った、インクリングの子供たちが手を振っている

もう片方の手で、手を振り返しホタルちゃんの表情を伺った

寝そべったまま俯いていて表情が見えない

ガラス張りの向こうからはきっとホタルちゃんは眠っているように見えているんだろう

けれど耳まで真っ赤に染まったホタルちゃんを見たアタシからしたら、1枚ガラスを挟んだ向こうにいるファンにバレないか興奮しているんだと思う

それでも絡めた指を離そうとしない

繋ぎあった手がバレるのは時間の問題だろう

ホタルちゃんにバレないように、もう片方の手で、インクリングの子供達にアタシ達の繋がれた指を指さした

声こそは聞こえないものの、わあ!という口の形が見て取れる

にしし、と笑ってみせると子供達も顔を赤くした

「ホタルちゃん、指、見られちゃったよ?」

ホタルちゃんの耳元に顔を埋め小さな声で呟いた

更に顔が赤くなる

バラしたでしょ、そう言いたげなウルウルした瞳で睨まれる

「ホタルちゃんが構ってくれないのが悪いよ」

まだインクリング達にはホタルちゃんが眠っているように見えてるかな?

それとも普段は雪のように白いホタルちゃんの顔が真っ赤に染まっていることに気付いただろうか?

「ファンサービスは大切でしょ?」

たまにはアタシが攻めってのも悪くないよね?

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ