赤鬼作 短編集2
□お誕生日
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ぱるるside
「誕生日ぐらい・・・、一緒に居てくれたっていいじゃん・・・」
真っ暗な家をみてポツリと呟いた
そのひとことが改めて寂しくて・・・、言わなきゃよかったと後悔
私の今一番会いたい人は会う約束だからって傍にいない
もしかしたら今日が何の日なのかも忘れてるのかな
「ただいま・・・」
靴を脱いで乱暴にカバンをほり投げる
真っ暗な部屋に灯りを灯すこともめんどくさくて・・・
リビングについてソファーに横になった
たったひとりの誕生日・・・。か・・・
今みんな何してんだろ・・・
やっぱりご飯食べに行ったり仕事してたりするのかな・・・
私のことなんかもう・・・
忘れてるのかな
────
時計の針が12を回ってもあの子は帰ってこなくて・・・
本当に忘れてるんじゃないかと不安になった
「イヤだよ・・・会いたいよ・・・」
無意識に涙が流れて、もう誰もいないし、って抑えられなくて・・・
その瞬間パチッて廊下の電気がついた
「ぱる・・・る??」
リビングのドアが開いた瞬間、私の大好きな声が聞こえて・・・
涙を見せたくなかった。あんなに思ってたのに・・・
今はもう関係なくて・・・
「由依っ」
首に手を回して強く抱きしめた。
「なっ?!えっ?!」
「由依、酷いよ。由依なんか嫌い」
そう言いながらも由依に会えたことが嬉しくて、由依じゃなきゃ嫌で。
「え・・・、うん、ごめん」
もう誕生日なんかこの際関係ない
プレゼントもケーキもなにもいらない
だから・・・
あなただけはずっと傍にいて。