文庫本、漫画小説

□20XX年物語
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「お父さんの馬鹿!!」


彼女はそう叫ぶと、家から物凄い勢いで駆け出していった。


もちろん、彼女の父親が放っておくはずも無く


追いかけてくる。


しかし彼女は道という道を曲がり


隙間という隙間を駆使して走りまくった。


そして、何処をどう走ったのか


自分には見覚えの無い町まで走ってしまった。


「ここ、何処だろう・・・・?」


そう言いながらしばらく歩くと、雨風がしのげそうな、河川敷に着いた。


「丁度良いわ、しばらくあそこにいよう。」


そう言って、彼女が川原へと降りていった時だった。


ガサッという音が聞こえた。


「誰!?」


「あんたこそ誰よ。


ここは元々あたしが先に見つけた場所なんだから


あんたが名のんなさい。」


「え?わ、私?


あの、私、天野流衣って言います・・・・。」


「へえ?奇遇ね。


あたしはあんたと1文字しか違わないの。


あたしは天野瑠華っていうの。


瑠華て呼んで良いわよ。」


「あっ、じ、じゃあ、私の事も流衣って呼んで構わないです・・・。」


「あんた何歳?」


「え?18ですけど?」


「なんだ、同い年じゃん。 敬語使わなくて良いよ。」


「そう・・・なの?」


「嘘ついてどうすんのよ」


「そうだね・・・」


「で?あんた何処から来たの?」


「えっと、河下市から来たんだけど、ここ何処?」


「は!?河下から来たの? ここ押見市よ?」


「え!?そうなの?適当に走ったから良く分からなくて・・・・」


「・・・・家出?」


「まあ、そんなもん。」


「そっ。 まあ、あたしも似た様なもんだから


別にあんたを責める様な事はしないわ。」


「そう・・・・・」


「これから行く当てあるの?って家出だから無いか・・」


「うん・・・」


「じゃあ、ここにいて良いわよ。」


「え!?」


「ここにいて良いっつってんの!


何度も同じ事言わせないでよ。」


「あっ、ごめん・・・。 でも本当にいても良いの?」


「他に行く当ては無いんでしょ?


だったら気がすむまでいれば良いわ。」


「じ、じゃあ、これから宜しくね。」


こうして、2人は河川敷で一緒に暮らす(?)ことになった。
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