ゲーム小説

□TOR〜サレの真実〜
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〜プロローグ〜



・・・・・?


ここは何処だい?


ああ、そうか、僕はもうすぐ死ぬんだ。


さっきトーマと刺し違えたからねえ。


ふふ、まったく。あいつらは本当に馬鹿だね。


人の心≠ネんて物信じちゃって。


そんな物、上辺だけの物でしかなのに・・・ねえ。


・・・でも、もしかしたら・・・


心の奥底では信じたかったのかも知れない・・・ね・・・・・・・。


あの日が来るまでは・・・・僕だって信じていたんだからね・・・・・・。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「おぎゃあおぎゃあ」


ミナールの町の近くにある、レイシェンの町で元気の良い産声が聞こえた。


「はあっはあっ。う、生まれたわ。」


「良くやった!男の子だぞ!!」

「あなた、名前は決めてあるの?」


「ああ、とっくに決めてあるさ! 『サレ』って言うのはどうだろう?」


「あなたが気に入っているのなら、その名前で良いわ。


この子は今日から『サレ』よ。」


生まれた子供に名前を付けた瞬間、発光し始めた。


「!?」


「こ、これはいったいどういうことなの?」


「うぎゃあうぎゃあ」


より一層赤子の声が大きくなったかと思うと


突然家の中に小さな風が吹いた。


「ま、まさか!そんな!!」


「なんてこった!


普通ガシュマにしか現れない、『フォルス』を持って生まれて来るだなんて!!」


「むやみに使っては、町の人を傷つけることになるわ!『力』を使わないように言い聞かせましょう!!」


「そうだな。そうするしかあるまい。」


こうしてサレは、毎日呪文の様に


力≠使ってはならないと、言い聞かせれて育った。


そして、両親は極力町の人を巻き込まない様


サレを他の子供たちと遊ばせないようにした。


その為か、サレはヒネくれた性格になった。


だが、そんな彼にしつこく遊びに誘う者がいた。


彼は何度サレや両親に断られても、毎日サレを遊びに誘い続けた。


彼の名前はグレイス・ウィルソン。


年齢は何度聞いても教えてくれなかったが、彼は青年に見えた。


何事にも真剣で、正義感が強く、素直な性格に、サレは心を開いていった。


そして、サレとグレイスは一緒に遊ぶようになった。


遊びに誘ってくるのはたいていグレイスで


何をするにも、彼が先頭に立って行動した。


そんな彼を慕い、彼の周りにはいつも子供たちが集まっていた。


サレもその中に入り、皆で遊ぶ事になった。


だが、大勢の中に上手く溶け込めないサレを見て


グレイスはサレだけと遊ぶようになった。


遊んでいても、サレや両親はいつ力≠使うかとひやひやしていた。


そして、ついにその日は訪れた。


その日、サレはいつもの通りグレイスと遊んでいた。


ただ、いつもと違うのは、けして入ってはならないと言う町外れの洞窟に


足を踏み入れてしまった事だった。


「ねえ、グレイス。本当に大丈夫?」


「大丈夫だって! 俺、何回も入ったことあるけど、たいした事無かったぜ!」


そんな、グレイスの力強い言葉を、サレは信じた。


2人は、はぐれない様に、手を繋いで洞窟に入っていった。


そして、どんどん奥へと進んでいった。


洞窟の中盤に差し掛かった時のことだった。


「俺は、この辺までは来た事があるんだ。」


グレイスはそう言い、まだ先に伸びている洞窟を見渡した。


「この先は行った事が無い・・・。でも、すげえ行きたいんだ。」


「え?そうなの? でも、もう戻ろうよ。


これ以上進んだら、暗くなっちゃうよ。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「グレイス?」


「サレ、俺たちの町に受け継がれている伝説を知ってるか?」


「え?知らないけど・・・・」


「昔、アイフリードって海賊が、何処かの洞窟に


何でも夢が適うと言う不思議な石を隠したって言う伝説があるんだ。」


「そうなんだ・・・・。」


「俺は、その洞窟がここなんじゃないかって思ってる。」


「ええ?!まさか!」


「まあ、確かに眉唾物なんだけど、俺はどうしてもこの目で確かめたいんだ!」


そう言うと、グレイスはサレを残してどんど
ん洞窟の奥に進み始めた。


「あっ、待ってよ!グレイス!!」


サレは不意に心細くなり、グレイスを追いかけ始めた。


そしてとうとう、洞窟の奥にたどり着いた。


そこでサレが見たのは、姿はあるが、中身の変わり果てたグレイスだった。
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