『消えた光』
□1.祝宴
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長かった……
気付けば7年もの時が流れていた。
傷ついて傷ついて……
それでも諦められなくて。
"元に戻る"
ただそれだけのために駆けずり回った。
――泣けない、眠れない、食べれない。
人として当たり前に出来る事ができない弟。
そんな風にしたのは自分。
だから泣くわけにはいかなかった。
心配そうな顔で"いってらっしゃい"と言ってくれた元東方司令部の人たち。
何の恩返しもできなかった。
そしたら2人そろって、笑って"ただいま"って言ってくれればいいと言ってくれた彼等。
そして、半年もかかったけど、ようやく"ただいま"と言える。恩返しができる。
この後のことは弟と何度も話し合った。
今度は自分の足で歩いていく。
そう決めて選んだ道。
きっとそれは間違ってなかった。
――ただ、何も知らなかった。
それが始まり。
願いを叶えるために自分を省みる時間も余裕もなかった。
解放された今でも、自分を省みるなんてしなかった。
だから、自分が周りにどう見られてるのか、どんな存在なのか知らなかった。
……そう―――それが全ての原因だったのかもしれない……
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