長夢〜願いはたった一つ〜
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「この戦力差戦うのはお勧めいたしません。」
「提案ですが・・・そこにいる雪村千鶴君とかぐや様をこちらに預けていただけないでしょうか?そうすれば皆さんを見逃しましょう。」
「そりゃいいな!姫さんよ。」
天霧さん、不知火さんの鬼の圧力でこの場が凍りついた。
『私は・・・』
そういいかけたところで永倉さんが口を挟む。
「・・・・だとよ。左之。どうする?」
「聞くまでもないだろ。平助の冗談のほうが可愛げあるぜ。」
「・・・・!!」
互いに笑いあい二人は一瞬だけ平助君をみて笑った。
「ひゃははははっ!威勢がいいねぇ。この数突破できるのか?お前ら人間に。」
不知火さんの言葉に薩摩の藩士たちが動き出す。
『待って!!!』
私は叫ぶ。
「なんだ?秋月姫。」
『・・・・私が行けばいいんでしょう・・?』
私は唇をかみ締めながら二人を睨んだ。
「泣けるねぇ・・・そんなやつらのために。・・・だけどなぁ?俺は天霧の旦那ほど甘くねぇんだ。」
「こいつら皆殺しにして女鬼を人質に取れば秋月姫はいつだって俺らのところに来てくれるだろ?」
不知火さんはニヤッと笑って銃を構える。
『・・・・不知火さん・・・・』
ふつふつと自身の中から湧き上がる怒りで心が真っ赤に染まっていく。
「秋月。大丈夫だ。」
原田さんの声で我に返る。
「来い。こいつは渡さない。お前ら道連れに果ててやるよ。新撰組十番組組長の首、易々取れると思うなよ?」
『原田さん・・・』
原田さんは私を背にかばい槍を構える。
私も紅桜を手にして構える。
「おいっ!平助!!お前は千鶴ちゃん守れよ!!左之にばっかいい格好させんな!!」
永倉さんが叫ぶと平助くんは顔を上げた。
そしてゆっくり歩き出し千鶴ちゃんの前で鬼たちを向き合う。
『平助くん。千鶴ちゃんをよろしくね!』
「しょうがないから手伝ってやるよ!!新八つぁんや左之さんはともかく千鶴はおれが守る!」
そういう平助くんも永倉さんも原田さんも皆嬉しそうに笑っていた。千鶴ちゃんに大丈夫と目線を送れば千鶴ちゃんはしっかりうなづいてくれた。
「へへっ、こうして3人で喧嘩すんの久しぶりだな。」
『今日は4人ですよ?』
嬉しそうにいう原田さんに私は言う。
「ははっ、ちげぇねぇ。」
永倉さんが笑う。
「いいか?秋月。絶対無茶すんなよ?」
原田さんの言葉に私はしっかりうなずく。
戦いが始まった・・・。