長夢〜願いはたった一つ〜
□迷い
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「あなたたち・・風間とは何度か刃を交えていると聞きました。」
「彼らの狙いが彼女たちだということもご存知ですか?」
お千ちゃんは私と千鶴ちゃんをまっすぐ見つめる。
近藤さんが承知していると答えた。
「私の本来の名は千姫と申します。」
優雅にお辞儀をする彼女もまた姫君のようだった。
「この国には古来から鬼が存在していました。幕府や諸藩の上位の立場のものは知っていました。」
「鬼は人々と関わらず静かに暮らしていて、彼らもそれを望んでいました。」
「鬼の強力な力に目をつけた権力者たちは自分に力を貸すように求めました。」
「断ると村落が滅ぼされる・・・鬼の一族は各地に散り散りになり隠れて暮らすようになりました。」
「人と交わって暮らしていくうちに血筋のいい鬼の一族は多くありません。」
「風間は西国でもっともいい鬼の家の頭領。東国では・・・雪村家。そう、貴女よ?千鶴ちゃん。」
「千鶴ちゃんの中には滅んだとされる雪村家の血が流れています。」
お千ちゃんの確信に満ちた言葉に広間は静まり返る。
「風間は血筋のいい鬼の子孫を残そうとしています。それが彼が千鶴ちゃんを狙う理由。」
『・・・・私は・・・かぐやの生まれ変わりだから?』
急な私の言葉にお千ちゃんも君菊さんもそして皆も目を丸くさせた。
「・・・・ご存知だったんですか・・・?」
お千ちゃんが恐る恐る聞く。
『夢の中で直接かぐやに言われました・・。でも詳しいことは知りません。教えてくれませんか?』
私の言葉に意を決したお千ちゃんは私を見据えて話し始めた。