長夢〜願いはたった一つ〜


□居場所
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千鶴ちゃんと松本先生の話が終わって近藤さんも交えて戻ってきたとき近藤さんから屯所全体に大掃除の指示が下された。

幹部の人たちは指示に従いながらもどこか不満げな様子だった。

大掃除中に千鶴ちゃんに松本先生と話した内容聞くと綱道さんの行方は松本先生も分からないそう。



翌日
松本先生は掃除の成果を見るために再び屯所を訪れてくれた。

「うん、まぁまぁ綺麗になったな。」

満足そうにあごをさすった松本先生。

しばしば幹部の皆と談笑していると松本先生が沖田さんを連れて広間をでた。

私はその様子が気になり皆に気づかれないように広間をでて後を追った。


沖田さんたちが向かった中庭に行くと二人の姿があった。
私は物陰に身を潜めた

「結論から言おう。・・・お前さんの病は労咳だ。」

・・・労咳・・・?・・・あっ、結核・・・。
私は全身の熱が一気に引いた。

「なんだ。やっぱりあの有名な死病ですか・・・。」

「驚かないのか?」

「そりゃ、自分の身体ですから。」

松本先生と沖田さんの話が耳に入ってこなかった。

沖田さんが死病・・・労咳・・・・結核・・・・この時代は不治の病と呼ばれている。

・・・沖田さんっ・・・・


私は唇をかみ締めた。

立っているのがやっとだったが私はなんとか耐えていた。

「近藤さんたちには言わないでくださいよ?」
沖田さんのいつもどおりのおどけた言葉が聞こえてくる


「まぁ・・・私もあの子にはいえなかった・・・。綱道さんが攘夷派の過激浪士連中と行動を共にしているらしい。なんてなぁ・・・」


綱道さんが!!!?

・・・・松本先生は千鶴ちゃんのために・・・。

私は声を必死に抑えていた。

気づくと松本先生は立ち去っていた。

「秋月ちゃん。もう出ておいで。」

沖田さんは縁側に腰掛けたままつぶやいた。
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