長夢〜願いはたった一つ〜
□敵か、味方か。
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今日はよく休むように言われ客間から外に出て私は夜更けに縁側に座っていた。
『なんか寝すぎたから眠れないわ・・・』
寝すぎて眠れないというのも本当。でもそれ以上にまた変な夢をみるんじゃないか・・・そう思うと眠れない。
私は月を見上げる・・。今日は半月。
「眠れないか?」
後ろからふと声がして振り向けば原田さんの姿。
『ちょっとだけ、です・・・』
私は苦笑いを浮かべた。
原田さんは私の隣に腰を下ろした。
「なぁ、秋月。なんで斬ってくれなんて言ったんだ。」
『・・・言ったじゃないですか。原田さんを信じる。って・・・だから私は原田さんがいるこの新撰組を信じたんです。』
私は月を見上げたまま話した。
「そうか・・・。信じてくれたんだな・・・。」
原田さんは納得したのか私の頭に手を置く。
原田さんの大きな手のひらが心地いい。
「どんな夢をみたんだ?」
私はパッと原田さんを見るととても優しい目で私を見つめていた。
『・・・・鋭いですねぇ・・・』
『女の人が泣いていたんです・・・どんな人かはわかんなかったんですけど泣き声だけ聞こえてきました・・・。辺りは真っ暗でただただ泣き声が木霊してました。嫌だ、嫌だって・・・国が滅んでしまえばいいって・・・』
『そしたら辺りは一瞬で草原になってました。見渡す限り草原でとても綺麗な景色なのに・・・女の人の声はずっと泣いてました・・・。裏切られたって・・・憎いって・・・』
『その感情が私の中に入ってきて、苦しくなって・・・・目を閉じたら原田さんの姿が浮かんだんです。だからきっと原田さんが助けてくれたんです!』
私は原田さんのほうを向いて笑顔をつくる。
「辛かったな・・・。」
原田さんが私の肩を掴み自分のほうに寄せ私を抱きしめる。
「無理しなくていい。俺しかいないから、泣いていいんだ。」
『なん・・・・うっ・・・でぇ・・・ひっく・・・』
原田さんの言葉に私の涙は溢れ出した。
『池、田屋って・・・わかっ・・・なのに・・・ック・・・たすけ・・・られっ・・なかった・・・私の、せいで・・沖・・たさんも・・・平助・・くんも・・・傷・・・』
「お前のせいじゃない!お前のせいじゃないんだ。」
『で、も・・・』
「お前が俺たちに伝えにきてくれたからいち早く俺たちは池田屋に向かうことができたんだ。だからお前のせいじゃない。」
原田さんは私の背中をさすりながら優しく諭す。
『うぅ・・・うわぁぁぁぁぁー』
私は今までたまってたものがすべて出るように涙を流した。
原田さんは私が落ち着くまでずっと抱きしめてくれていた。