長夢〜願いはたった一つ〜


□敵か、味方か。
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広間に皆が集まった。千鶴ちゃんも。千鶴ちゃんは私の姿を見た瞬間抱きついてくれた。

今にも泣き出しそうな千鶴ちゃんをみて私は申し訳なさでいっぱいになった。


私はこの時代にきたばかりのときの光景を思い出していた。

私の目の前に近藤さん、土方さん。周りを幹部隊士に囲まれている。


『このたびは勝手な振る舞い大変申し訳ございませんでした・・・。』

私は手をついて頭をさげる。

「月夜野くん。もう大丈夫かい?」
近藤さんは心配そうに声をかける。

『はい。大丈夫です。』
私はにっこり近藤さんに答える。

「それでは早速この間の夜のことを話していただけますか?」
山南さんが私を静かに睨み言う。


『はい・・・。あの夜・・・』

私はすべて話した。

外に空気を吸いに出たとき、紅桜の鈴の音が聞こえたかと思うと走馬灯のように頭の中に流れ込んできたこと。

まさかと思い広間に戻ると山崎さんがきて表情を見て私は思わず走りだしていたこと。

池田屋について叫び声を聞くと心臓がドクンと震え気づくと刀をもって中に飛び込んで人を斬っていたこと。

そして風間に去り際「月の姫」と呼ばれたこと・・・。


『私は今まで刀は握ったことなんてありません。でも私は刀の扱い方を知っているみたいです・・・。その理由は分かりません。』


私の話を皆は黙って聞いていた。

口を開いたのは山南さんだった。

「なんとも・・・奇怪な話ですね。とても信じがたい話です。」
山南さんはめがねをクイッと上げる。

『私が一番わかっています。山南さんがいうのももっともだと思います。』

『私が邪魔だと思うなら斬ってくださってかまいません。』
私はまっすぐ土方さんを狂いのない目で見つめる。

「んなっ!!!」
原田さんは思わず立ち上がる。

『私は新撰組の敵ではありません。でも、私が邪魔だと思うなら・・・覚悟はできています。』

私がそこまで言うと土方さんはフッと笑い言葉を発した。


「味方か・・・。そんだけの覚悟があるんだったらなにもいわねぇ。だけど次勝手に動いたら覚悟しやがれ。」

『!!!』

思っていた言葉と違う土方さんの返答に私は目を丸くする。

「しかし、土方くん・・・」
山南さんが口を挟もうとする。

「いいじゃないですか。変な動きした時点で斬ればいいだけだし。それにもし刀が扱えるなら新撰組にとって好都合だし。」
沖田さんが面白そうに笑う。

『どうでしょうか??今握っても扱えるかはわかりません・・。』
私は苦笑いして応える。

「まぁ、総司の言うとおりだ。いいな?秋月。お前にはこれまで以上に働いてもらう。」

『ありがとうございます。』
私は頭を下げた。原田さんだけは顔をゆがめていた。


 
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