長夢〜願いはたった一つ〜
□池田屋事件
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皆が出発して広間ですごしていたが、少しだけ外の空気を吸いたくて縁側まで出てきた。
体調不良で動ける隊士は少ないらしい。
近藤さんの隊10名で池田屋に。土方さんの隊24名で四国屋に・・・。
大丈夫でしょうか・・・と心配になりながら無事に帰ってきますようにと紅桜を握り締めて願った。
頭の中に
リーーーーン
と鈴の音が鳴った。
私の中にまた走馬灯のように映像が流れ込んできた。
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池田屋
「こっちが当たりか・・・」
永倉がつぶやく。
「僕は最初からこっちだとおもってたけど。」
沖田は予想が当たるのが当たり前のような顔をしていった。
「俺たちだけで突入とかどう考えても無謀だよなー!!」
藤堂は不満げに永倉に言う。
それでも近藤は突入を決意して近藤、沖田、永倉、藤堂の4人で突入し後の隊士は外を囲う。
そして激しい刀の音が周囲を木霊する。
藤堂は額を切り沖田はひざを突いて血を吐く。
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『・・・・・な・・にこれ・・・』
私は意味が分からなかった。いや分かりたくなかった。あんな鮮明な光景がなぜ頭の中に入ってきたのか・・・
それを考えるより足が広間に向いた。
広間に行くとちょうど監察方の山崎さんが肩で息をしながら入ってきた。
「総長・・・ほ、報告いたします。・・・・今回、の会合場所は・・・」
『池田屋・・・。』
山崎さんがいう前に私は口にした。
「な、なぜそれをッッ!!!」
ひどく驚いた山崎さんと目を丸くした山南さんと千鶴ちゃん。私は唇を噛んだ。
『ッッ!土方さんたちに伝えに行きますッッ』
「ま、まちなさい!!」
山南さんが止める前に私は屯所をあとにした。