長夢〜志 あなたと共に〜

□千鶴手合わせ
2ページ/5ページ

新八Side


楓とは逆回りで今日の町を回る。


楓は昔から面倒見のいいやつだった。

容姿端麗で器量もいい。新選組にきたときは本当にびっくりした。

あれは・・・俺が16歳のときだったか・・・?楓と出逢ったのは。
色々な道場を回っていた俺は楓と出逢う。

あのときの楓はまだ少女で、俺はあいつのことを下に見ていた。
でも手合わせしてみると結構互角で、正直びっくりした。
意気投合して、仲良くなって、楓の男勝りな性格もすごい気に入った。

そんな楓の傍から離れるのは嫌だったが俺はもっと高みに上りたかった。

だから道場を去った。


そう自分に言い聞かせてるんだが、本当はこれ以上あいつの傍にいるとどんどんあいつにはまっていく俺に耐えられなかったんだ。

試衛館時代は左之と出逢って本当に心から仲間ってよべるやつらと出逢えた。

新選組になってあいつがまた目の前に現れたときは本当にびっくりした。

いや、最初はだれだか分からなくて男だと思ってたんだが。

楓はあのときの笑顔のまま俺に笑ってくれた。

でも俺はあいつの笑顔より、去るときに見せた涙のほうがよく覚えている。


『・・・新八は男だから、いいよね・・・。どんどん強くなる・・・私も男だったらよかったのに・・・。』

あいつの最後の言葉が忘れられない。

だから俺はあいつのことを女として意識しないようにしていた。

でも、あいつが総司とか他の男に言い寄られてんのを見てるとはらわた煮え返るような気持ちになる。楓は数年で組長になってみんなからも好かれるようになった。

俺としても嬉しいんだが・・・。
本当は俺のことを男として、楓を女としてみてぇんだよなー・・・。でもあいつはきっとそれを望んでねぇんだよ。

かなわねぇって分かってる。
それでも俺はあいつに傍に居て欲しいって思っちまうんだよなー・・・。


まぁ、今は俺の隣に仲間としていてくれる。それだけで十分か。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ