長夢〜願いはたった一つ〜
□願いはたった一つ(完)
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鬼の一族が暮らす村。
頭領は風間千景。それを支える妻の千姫。
二人の力でこの広大な土地の鬼の村は平和な日々が続いた。
その村に暮らす二組の夫婦。
東の鬼の血が流れる女鬼雪村千鶴と、人間の藤堂平助。
そして、元月の鬼姫かぐや姫、月夜野秋月と、人間の原田左之助。
あとの二人はすでに人間同士。
しかし、頭領たちたっての希望で鬼の村に住んでいる。
人当たりのいい人間の二人を村の皆もすぐに受け入れた。
太陽の日差しが優しく降り注ぐ秋晴れの今日。村は朝からお祭り騒ぎ。
「秋月?」
『左之助さん?』
「・・・・・」
『・・・へん・・・ですか?』
目の前にいる自分の妻になる女の美しい様に声が出ない左之助に不安を覗かせる秋月。
「い、いやっ!!!ちげぇ!!ただ綺麗過ぎて・・・見惚れちまった。」
『・・・・////』
左之助の言葉に顔を赤らめる秋月。
「俺は世界一幸せもんだな。こんな綺麗なお前を娶れるなんて。」
白無垢姿の秋月をそっと抱き寄せる。
『左之助さん・・・。』
「秋月。愛している。お前だけを。」
『私もです・・・左之助さん。』
『願いはたった一つだけです・・・。いつまでもあなたの傍に・・。』
「奇遇だな。そりゃ俺も同じだ。」
「お前をいつまでも守ってずっとお前の傍にいる。俺たちはいつまでも一緒だ。」
そっと重なる二つの影。願い事はたった一つ・・・。
いつまでもあなたの(お前の)傍に居続ける。
秋晴れの今日、優しい風が村を包む。
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やっぱり人間は美しい
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優しい風に空が少し笑っていた。
終→お礼