長夢〜願いはたった一つ〜
□最後の別れ
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『今からわらわの力を解放する。』
皆が集まった中でかぐやは目をつぶり紅桜を握り締める。
かぐやの周りの氣が強まり驚いたことに髪の毛がふわふわ浮き、髪色が桜色に変わっていき腰まである長さがどんどん長くなっていく。
「これが・・・月の鬼姫・・・かぐや姫の力か・・・。」
風間がつぶやく。他のものは驚いたように息を呑む。
『この姿・・・久しいな・・・・』
そう優しく笑うかぐやの顔はとても美しかった。
かぐやはそういいながら紅桜で自身の指を傷つけ二つの小瓶に血をたらす。
一つは血原液。もう一つは富士の湧き水で薄めたもの。
それを平助と千姫に渡す。
『さぁ・・・飲むがいい。』
手渡された小瓶を見つめる平助と千姫。
お互いを顔を合わせうなずき、一気に小瓶のかぐやの血を飲み干す。
「「うっ・・・」」
一瞬顔をゆがめた二人。
しばらくしたあと千姫が目を見開く。
「羅刹の毒素が抜けた・・・。本当に・・・もどった・・・」
「俺は・・・あんまり変わんない・・?」
平助は自身の手を見つめて戸惑う。
「確かに。まがい物の力が抜けたな。八瀬の鬼よ。・・・・・そのまがい物もだ。」
「!!ほんとかよ!風間!!!」
目を見開く平助。
「こんなことで嘘をついてどうする。」
「平助!!」
左之助は刀を取り出して平助の指を切りつけてみる。
ぷつっと流れる血。傷口が治らない。
「ほ、本当だ!!!俺元に戻ったんだ!!!!」
「平助くん!!!」
「千鶴!!!」
喜ぶ皆々。その視線がかぐやに向かう。
「ありがとうな!!!本当に!!!かぐや姫!!!」
「ありがとうございます!!!」
「かぐや様・・・このご恩は一生忘れません。」
「礼を申し上げます。かぐや姫。」
それぞれが礼を言う。
原田はそれを優しく見守る。