長夢〜願いはたった一つ〜


□願い
1ページ/8ページ

「いいのかよ?それで。あいつら死ぬかもしんねーぜ?」

『・・・原田さん・・・左之助さんは私と約束しました。必ず無事で私を待ってるって。』
『今までも左之助さんのことを信じてきました。だから私は左之助さんの言葉を信じます。』
『私は富士の聖水を目指します。』

私の迷いのない目をみて不知火さんがフッと笑う。

「やっぱり、秋月姫はいい女だなぁ。なんで原田なんだ?まったく・・・。」

不知火さんの言葉に私は頬を染める。

「しょーがねー。俺が行ってやるよ。ここから先は姫さん一人で大丈夫だろ?」

『え?』

「俺以外のやつに原田がやられんのもむかつくしな!」

『不知火さん・・・』

不知火さんの優しさに私は心が温かくなる。

「新選組の羅刹はまだ江戸にいるみたいだ。姫さんは用が済んだら江戸に向かえよ?」

『不知火さん・・・本当にありがとう。』
『左之助さんのこと・・お願いします。』

「しょうがねぇな。」

『不知火さんも・・・無事でいてね。』
心からそう思って私は不知火さんの手を握る。

「・・・俺は鬼だぜ?そんなやわじゃねーよ!」


不知火さんは笑いながら私に背を向けた。 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ