長夢〜願いはたった一つ〜


□迷い
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『ハァ、ハァ、ハァ・・・かぐや・・・姫・・・』

目が覚めた私は息を切らし汗をかいていた。
腕を見れば傷跡はどこにも見当たらない。

不死・・・。


かぐやの中にいたときのことはすべて覚えている。
まるでかぐやがすべて見せるかのように・・・。

『・・・・私はどうしたら・・・いいの・・・?』
私は涙で目が潤みひざを抱えた。


「おい、入るぞ。」
そういい襖があくと土方さんが部屋に入ってきた。

『ちょ、まだ返事してません・・・』
思いがけない土方さんの来訪に私は急いで目をこすり必死に隠した。

「秋月だな。」
「ちょっと広間にこい。」
かぐやじゃなく私だと確認した土方さんは私を広間につれだす。

わけを聞いても来れば分かるとだけ言う。

寝間着姿の上に羽織をかけて私は土方さんの後についていく。
空はすっかり更けていて私は一日中眠っていたことに気がつく。


広間に入ると幹部の皆さんに千鶴ちゃんが集まっていた。

そして二人の人影も。

お千ちゃんと君菊さんだった。


『え、えぇ?どうして・・・?』

「お久しぶりです!!」
「あなたがたをお迎えにあがりました。」

すごく丁寧な言葉を私に向けるお千ちゃんに私は不知火さんの「鬼の頂点」と言う言葉を思い出す。


広間に戸惑いが広がる。千鶴ちゃんも戸惑っている。

『・・・貴女も鬼なんですか?』

「時間がありません。急いで準備してください。」
私の問いに君菊さんが口を挟む。

『ちゃんと、ここにいる皆にわかるように説明してください。』
真剣には私お千ちゃんにいう。

いつもと違う私の雰囲気に皆は黙っていた。

「失礼いたしました。順を追って説明させていただきます。」

お千ちゃんはそういうと話し始める。
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