長夢〜願いはたった一つ〜
□自分の姿
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潜入調査も終わり、私は報告に土方さんの部屋を訪れた。
綱道さんが水面下で薬の研究を続けていること。
他も色々報告したが、不知火さんのことと私のことは黙っていた。
綱道さんのことは千鶴ちゃんには今はまだ黙っていることになった。
「ご苦労だったな。ゆっくり休んでくれ。」
『ありがとうございます。』
「・・・秋月。悪かったな。嫌な役回りをさせちまって。」
『いいえ。お役にたててよかったです。私が決めたことなんであんまり気にしないでください。それに・・・』
『土方さんが言ったのですよ?こき使うって・・・』
私はクスクス笑うと土方さんもフッと笑いいつもの態度に戻る。
「ったりめーだ。これからも頼んだぞ。」
私ははい。と返事をして部屋を後にする。
このところ皆と夕餉もできなかったので皆でわいわいとした夕餉はとても楽しく安心した。
最初は戸惑った私だったが皆との時間はいつの間にか私の大切なものに変わっていた。
久々に千鶴ちゃんと同じ部屋で床に入ると今日の出来事を千鶴ちゃんが教えてくれた。
千鶴ちゃんと同じ顔の女の子、薫さんを独断で追いかけていってしまって沖田さんに怒られたこと。
「役立たずの子供、って分かっていたんですけど・・・」
そんな悲しい顔をして天井を見上げる千鶴ちゃん。
『役立たず、じゃないわ!千鶴ちゃんはちゃんと皆の役に立っている。貴女の笑顔に皆が癒されてる。土方さんが無茶しないようにお茶を持っていって見張ったり、永倉さんと平助くんがおかずの取り合いしてもちゃんと食べる分があるように多めにおかずをつくったり・・・』
『皆ちゃんとわかってるよ。』
私の言葉に千鶴ちゃんは涙目になる。
「ッッ明日からももっともっとがんばります!!」
『うん、一緒にできることをがんばろう。』
そういい私たちは目を閉じた。
その瞬間激しい音が響いた。
慌てて布団から身体を起こすと襖がこちら側に倒れている。