長夢〜願いはたった一つ〜
□平穏な日々
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禁門の変後。隊士の人たちは忙しそうに隊務に励んでいた。
千鶴ちゃんも禁門の変から戻った直後はどこか元気がないようだったが聞いてもなんでもないといっていたし、本人が言いたくないならこちらも無理して聞かなかった。
今はいつもの千鶴ちゃんに戻っていたので私は安心していた。
『今日はいい天気だからよく洗濯物が乾きそうねぇ。』
私は洗濯物を干していく。すると後ろから声がかかる。
「秋月ちゃん。」
『永倉さん。どうしたんですか?』
私は縁側に顔をだした永倉さんに駆け寄る。
「実はよ・・お願いしたいんだが・・・」
永倉さんは気まずそうに隊服を私の前に差し出す。
隊服を見ると袖の部分が破けていた。
「ちっと引っ掛けちまって・・・」
永倉さんはぽりぽり頬をかく。
『あらぁ、大丈夫ですよ。これぐらいなら、今針と糸持ってきますねぇ!!ちょっとまっててください!!』
私はにっこり微笑んで部屋に戻る。
針と糸を持って戻り縁側に腰をかける。
慣れた手つきで隊服を繕っていく。
「すまねぇな。こんな仕事押し付けちまって・・・。」
『気にしないでください。今日はもう仕事は終わってるので。それより今日は気持ちいいですねー』
「本当だな!いい天気だ!!」
『あ、永倉さん。この後お時間ありますか?』
「ん?今日は巡察夜だから空いてるけどよ?」
私は思いついたように永倉さんに尋ねたら永倉さんは笑顔で応えてくれた。
『じゃぁ!!私の髪切ってくれませんか!?』
私は目を輝かせた。
腰まで伸びている髪が邪魔でしょうがない。これからの暑そうな夏を乗り切るのには長すぎて苦労するだろうと思って髪を切りたくてしょうがなかった。
「えぇ?いいのか??」
永倉さんは目を見開いて驚いていたが私の懇願に負けたようだ。
私は隊服を直して、部屋に糸と針を戻した。