長夢〜願いはたった一つ〜


□新撰組での生活開始
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私がこの時代に来てから1週間がたった。

最初こそ分からなかったさらしの巻き方も千鶴ちゃんに教えてもらいだいぶ慣れてきた。

袴や着物自体は現代でも着慣れているので着付けは問題なかった。

部屋からは特に出たりしなく、静かにすごしていた。

千鶴ちゃんはたまに平助くんたちに声をかけられて部屋を出たりしていたけど、私はちゃんと言いつけを守らなきゃと平助くんに伝えお誘いを断っていた。

幹部隊士の人たちは気にかけてくれて平助くん、原田さん、永倉さんはとくによく部屋に話し相手になりに来てくれた。
舞を踊った日から少しずつ皆との距離が縮まっているように思える。

しかし、部屋の外から感じる冷たい気配はまだ私を信用されてないということを思い知る。

『やっぱり・・・少し寂しいですね・・・』

そうつぶやきながらも今朝もいつもと同じように袴を着付けた。
そして朝餉がくるのを部屋で待つ・・・それが日課だ。

「秋月さん、おはようございます!」
顔を洗ってきたであろう千鶴ちゃんが部屋に入ってきた。


『おはよう。千鶴ちゃん。』
すでに支度をし終わっている私は笑顔で千鶴ちゃんに振り向く。


そのとき部屋の外から声がかかる。

「原田だ。いいか?」
千鶴ちゃんの返答を待ってから原田さんはスーッと襖を開けた。
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