長夢〜死神が落ちてきた〜
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少しして、土方さんたちが帰ってきた。
『おかえりなさい!!土方さんっ!山南さんっ!』
「おかえりなさい。」
千鶴ちゃんと小姓として土方さんたちをお出迎えする。こっちがジメジメ暗い雰囲気だしてたら負のオーラが無限サイクルで続いてしまうと思ったから敢えて元気に笑顔で迎えてみる。
「あぁ、帰った。」
「......」
土方さんは私の笑顔に驚いたのか目を見開いたが、冷静に返答した。山南さんは無言無表情のままだった。
『山南さんっ!私、結構文字書くの上達したんですよ?!はじめくんと源さんに見てもらっていっぱい練習したんです!あとで見てくださいよ!!』
私が山南さんの側により自身の近況を報告した。
「え...えぇ...今日は長旅で疲れているのでまた日を改めていただいてもいいですか?」
「土方くん、少し疲れましたので夕飯時まで自室で休ませてもらいます。局長への報告は頼んでもいいでしょうか?」
山南さんは少し戸惑いながらも私の話を軽く聞き流し、土方さんに声をかけた。出発前の山南さんではあり得なかった。
「あぁ。構わねぇ。」
土方さんがそう言えば山南さんは「失礼しますね。」と早々に屯所の奥に入っていってしまった。
『......山南さんの怪我は治らないんですか?』
「...聞いたか。」
『はい。』
「恐らくな...。治ったとしても刀を振るえるか...。」
土方さんは悔しそうに拳をギュッと握った。
『...そうですか。』
『あ!!』
ビクッ
私のいきなりの声に土方さんも千鶴ちゃんも肩を震わせる。
『土方さん!お疲れ様でした!!ご無事で何よりです!』
私はにっこり笑って土方さんが無事なことを喜んだ。
「......あ、あぁ...」
『あ!私たちなら土方さんの言いつけ通り大人しくしてましたから〜♪』
「ったく、当たり前だ。じゃぁ、俺は近藤さんに報告があるから行く。お前たちは大人しくしてろ。」
私の言葉に呆れながらもため息をついた土方さん。
うん、さっきよりは和んだかな。
山南さん......。大丈夫...かな...。
そう思いながら土方さんの後姿を見つめた。