長夢〜志 あなたと共に〜
□初めての涙
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新八Side
昼過ぎ、土方さんに呼ばれて楓をつれて呑みに行けといわれた。
俺と左之、楓は今島原にのみにきてる。
いつもなら綺麗なおねえちゃんも呼んで楽しく呑むところだが今日はそういうわけにはいかねぇ。
こいつの様子がおかしいからだ。
朝の一との私闘。一と喧嘩なんかしたことなかったのにあんなに殺気だって・・・どうしたんだ?楓。
人払いして部屋で手酌で呑み始めると楓は何も言わずにすげぇ早いペースで呑む。
「楓?そんなペースで呑んで大丈夫か?」
左之が楓を心配する。
『・・・うるさい・・・どうせ土方さんから気晴らしに呑ませてこいって言われたんでしょ?・・・今日はとことん呑ませて・・・』
バレバレってことだな・・・。
俺は左之と顔を見合わせ苦笑いする。
『・・・・ごめん・・・。今日は・・・新選組四番組組長じゃなくて・・・ちょっとただの女になっていいかなぁ・・・?』
楓はそういいながら俺と左之の顔を見上げると楓の目は今にも涙で溢れそうだった。
その表情に俺も左之もドキッとしてしまった。
「楓・・・」
俺は楓の腕を引っ張り自分の腕の中に収めた。
左之は俺の腕の中で泣き始める楓の頭をポンポンと撫でて部屋を後にする。
「楓・・・」
『し、新八ぃ・・・・うっ・・・ひっく・・・ごめ・・・』
「俺の前でならいくらでも泣け。」
『ひっ・・・うっ・・ごめ・・明日・・からは・・・ちゃんとするから・・・うっくっ・・・』
楓は俺にしがみつきながら泣いた。