長夢〜志 あなたと共に〜
□想いを剣に乗せて
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それから数週間後。
伊東が一に頻繁に声をかける姿を見る。
山崎からの報告で、一と伊東にかなり距離が近づいているらしいがまだ少し信用を得られていないらしい。
もう一押しってことね・・・。
ごめんね・・・一。
私は夜山崎に土方さんと一宛に伝令を頼む。
そして床につく前に千鶴の部屋にいって明日の朝餉の準備をお願いする。
『明日の朝は少ししっかり鍛錬したいからお願いしてもいいかな?』
「わかりました!!がんばってください!!」
にっこり微笑んでくれる千鶴に私は心を痛める。
そして次の日の朝方、稽古場に向かう。
すでに稽古場にいた一と平隊士に向かう。
『一・・・少しいい?』
「何だ。今は稽古中だ。」
『昨日の報告書。あの報告書はどういうこと?』
「なぜお前にそんなこと言われなくてはいけないのだ・・・」
私たちは言い合う。
『最近たるんでるんじゃないの?前からおもってたけど・・副長たちを馬鹿にしてるんじゃないの・・?』
「お前には関係のないことだ。」
そしてお互い抜刀して一瞬にして交える。
近くにいる隊士たちは青ざめ、数人道場から出て行く。
よし。狙い通り。
そう。これは芝居だ。
副長側の私と一が交えれば伊東は一を信用する。
芝居でも私たちはお互い本気で刀を交える。
私の想いを剣にのせて・・・
一・・・ごめん。
でも私は迷わない。