長夢〜志 あなたと共に〜

□鬼稽古
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三ヶ月後の五月。
私たちは屯所を西本願寺に移転した。

西本願寺の広間はとても広く隊士が全員入ってもまだ余裕がある。

私はというと・・・

稽古場で隊士たちの稽古中。


『ほらっ!!そこ!!!脇が甘い!!!』
『背筋のばす!!』
『だから、そうじゃないっ!!』

稽古場の私はいつもと別人。鬼副長顔負けの鬼だった。


「おっ、やってるな。鬼組長。」

『うっさい!左之。』

突然稽古場にやってきた左之のせいで少し休憩。
隊士たちは神様を見るかのように左之を見た。

『だらしないな。』

私はふぅっと一息ついて左之のところに行く。

「まぁ、そう厳しくするなよ。」
『左之の稽古が甘いんだよ!』

そんなやりとりをしているとこの前入隊したばかりの隊士たちの中から声が聞こえる。

「なんで女に稽古されなきゃいけないんだ。」「本当につよいのか?」「色気で取り入ってるんじゃないか?」「あぁ、なんでも夜な夜な幹部の部屋にいってるらしい。」



ぷつんっ


「おっおい、楓?落ち着け・・・?」

『うるさい。左之。だまれ。』

私の堪忍袋の緒は切れた。


『あなたたち今なんていった!?そんなに気にくわないなら、かかってきなさい。』
『ここにいる全員相手にするわ!!!!』

私が木刀をもって平隊士たちのところに言って叫ぶ。


「あーあ・・・山崎いるか?」
「はい。原田組長。」
「今から屯所にいる幹部全員呼んで来い。土方さんもな。」
「日暮組長ですか・・・。」
「あぁ。こりゃ俺には止められん。」
「承知。」


そして私は隊士たちを相手にすることになった。
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