長夢〜志 あなたと共に〜

□一人じゃない
1ページ/4ページ

千鶴がここに来てから一週間がたった。

最初こそみんな警戒していたが最近は少しずつその警戒態勢を解いていっているようだ。

『千鶴?失礼します。』

私は襖を開ける。

「日暮さん。」

監視役の私にかしこまる千鶴。
うん、かわいいな。小動物みたいだ。

『楓でいいよ?みんな名前で呼ぶから。』

私はにっこり千鶴に微笑む。

「えと・・・じゃぁ楓さん?」

『はい。』
『よく一週間我慢したね?』

千鶴は専用の部屋を一部屋もらい軟禁状態だった。
土方さんからなるべく部屋からでるなと言われていたのだ。

「いえ・・・。ただ早く父様を探したいです。」

『そうだね。こちらとしてもなるべく情報を集めようとしてるんだけど・・・』

私の言葉に千鶴は悲しそうな顔をする。

『・・・もしよかったら屯所を案内するけど・・・』

「でも私・・・部屋からでるなって・・・」

『私は四番組組長だから私が付き添えば問題ないよ。』

「じゃ、じゃぁお願いします!!」

私の言葉に千鶴は少しだけ目を輝かせた。


『じゃぁ行こうか。』

私は千鶴を連れ出す。

中庭・・・広間をみせる。玄関先にいくといつもの声が聞こえる。

「えと・・・」

『十番組原田組長と二番組永倉組長だよ。』

「こ、こんにちは!!」
千鶴は思い切って話しかける。

「おっ。どうした?千鶴に楓」

『千鶴に屯所を案内してるの。そっちこそ・・・・はぁ。』

私のため息に千鶴はきょとんとする。

「あの・・・どこに行くんですか??」
千鶴が左之に聞く。

「俺らはこれから島原に行くとこだけど?」

左之はしれっと悪気なく答える。

私ははぁ。とため息をつく。

「ゆ、有名な花町じゃないですか・・・」

「さ、左之!!なにいってんだよ!!」

「俺嘘つけねぇんだよ。俺は別に新八みたいにやましくもないし・・」

「さ、左之!!」

新八が焦る。

『新八はきれぇーな女の人が目当てだもんね?』
『まぁ、左之の場合女の人にモテモテだからね。』

私はにっこり冷たい笑顔で嫌味をいった。

二人がバツ悪そうに視線を泳がせる。


「あれ?千鶴に楓。お前らも行くのか!?」

『平助。行かないよ!!』

「藤堂さん・・・。」

「千鶴〜藤堂さんってやめようぜ?みんな平助って呼ぶし、お前もそうやって呼んでくれよ!!」

にこっと笑う平助。お前はいいやつだな。


「じゃ、じゃぁ・・・平助くんでいい?」

「おうっ!!」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ