長夢〜志 あなたと共に〜

□目撃者捕獲
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あれから数年。

私は新選組四番組組長になった。

特例で女隊士として迎えられたが、最初はかなり反発があった。

幹部は私の実力を認めてくれたし、私の男勝りな性格も気に入ってくれた。

平隊士からはかなり陰口を叩かれていた。
新八の女だとか。それを理由に幹部を丸め込んだとか・・・。
私が言われるのはしょうがないけど新八まで陰口を言われるのは耐えられなかった。

そういった連中を表向き稽古と称し、こてんぱんに倒した。

そして私の実力が認められた。


今となっては陰口をいう命知らずな人はいない。

私の稽古は厳しい。陰口を言ったときには何倍の稽古になるか・・・皆恐れている。

稽古は厳しいが私が一番厳しいのは自分自身。


みんなよりもはやく起きて鍛錬は欠かさない。

人一倍鍛錬しているつもりだ。

だから、新八や総司、一にだって劣らない剣術を女の私が身につけられたんだ。
そう自負している。




『はぁ・・・寒い・・・寒すぎる・・・』

私は身体を起こし準備を始める。
さらしをまき袴を着付ける。
肩下までのびた髪を結ぶ。

男装。みんな私が女と分かっているが外ではあくまでも男として隊務にあたる。



そして準備が終われば庭にでて鍛錬する。

まだ暗い。

・・・寒すぎる・・・。

寒いのに弱い私は手に息を吐きながら素振りを始める。


しばらく続け、私は朝餉の準備をするため勝手場に向かった。



『おはよう。』

「おはようございます!!楓さん!!」

『早いね。奥沢さん。私も早く準備するね!!!』

そういって袖を紐でたすきがけして準備を始めた。


『あっ、今日はなにもないから繕う隊服とかあったらだしてね!!』


私は組長として隊務をするのと別に隊士たちの身の回りの世話もなるべくするようにしている。

男所帯。しかも皆武術や剣術、戦い好きな男たちだ。まともに家事なんかできない。

最初のころ丸焦げな魚と辛すぎるお浸しを食べて決意した。
私がご飯を作ろうと。


「いつもいつもすみません。」
奥沢さんはそういいながら手を進める。

大体の朝餉の準備が終わった辺りに後ろから声がした。

『山崎?どうしたの?』

自分の気配に気づかれて驚いた山崎だったがすぐに言葉を伝えた。

「日暮組長。広間に。」

『はいはい。』
『悪いけどあとはよろしくね?』
私はそういうとたすき掛けをとり勝手場を後にした。

山崎がくるということは、幹部が全員集まっているんだろう。

私は少し足を速めた。
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