長夢〜願いはたった一つ〜
□舞い踊る巫女
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原田Side
俺は夜更けてから土方さんの命で秋月を呼びに部屋に来た。
「おい、そろそろいいぞ。」
襖越しから声をかけると中から声がしてスーッと襖があき秋月が出てくる。
「ッッ!!」
俺は思わず息をのんだ。
そこに立っていたのは先程のにへっと微笑んでた少女ではなく、凛としたどこか大人びている美しい女だったからだ。
『?原田さん………どうかしましたか?』
急にふと声をかけられる。
「あ…いや、なんでもねぇ……」
「……行くか。」
俺らしくねぇ返答をしちまったがしょうがねー。まさか見惚れちまったなんて言えるわけがねぇからな。
俺は心情を隠すように秋月と千鶴を連れ出す。
庭先に行くとすでに近藤さん、土方さん、他の幹部たちは集まっていた。
『今宵はありがとうございます。』
秋月は庭に降りて俺達の方をみて一礼する。
『しばしの間にお相手ください。』
そういうと秋月は半紙を取りだし地面におきその上に紅桜をおいた。
紅桜に巻かれていた鈴を取り両手の中指につけ舞を踊り始めた。
月の光に照らされて踊る秋月はこの世の者とは思えないほど美しいと俺は思った。
周りをチラッとみると皆秋月の姿に魅入っている。
腰まで伸びた黒い髪もまた美しさを倍増させる。
今までも綺麗な女は見てきたが、こんな女は初めてだった。
俺は秋月から目が離せなかった。