現代パロ・お話
□secret love〜ベランダ編〜
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大学に入学したのは、もう2年も前のこと。
やることだらけで、1日が24時間じゃ足りないくらい。
毎日が充実してきていた。
そんなある日・・・。
高杉先輩に誘われて入ったサークルの定例飲み会に誘われた。
「歴史を感じる会」
どんなオタクな集団なんだ・・・そう思っていたら、実は、日本各地の地酒や特産品をおいしく味わう会だった。
高杉先輩から言わせたら、
「江戸時代から伝わる手法で作られた地酒が一番うまい。」
とのことで、名前が「歴史を感じる会」となったとか。
何だか胡散臭い気もしたけど、それでも、サークルの仲間は一緒に居て楽しいし、話も盛り上がる。
それに・・・何より、彼女も一緒だという事。
幼馴染で、幼稚園のころからずっと一緒の彼女。
大学まで同じところだという事には、びっくりしたけれど、それでも、嬉しさを隠せないでいた。
そんな彼女も、大学で仲良くなったという、花里さんと一緒に、このサークルに入ってきたのだった。
「おい。結城。今日はバイトは休みか?」
急に高杉先輩に聞かれた。
「あ、はい。サークルの呑みがあるからって、休みましたよ。」
そう言うと、高杉先輩は口角を上げてニヤッと笑った。
「そうか。じゃあ今日の会場はお前の家だ。」
「・・・は?」
強引なことで有名な高杉先輩。
だけど、会場選びだけは、いつもはずれがないと評判だ。
なのに、どうして今日は俺の家なんだ?
そんなことを思っていると俺の携帯が鳴った。
『title:翔太へ
急でごめんね。おばあちゃんがぎっくり腰になったらしくてね。お母さんとお父さん、今日からおばあちゃんの家に数日泊まり込むから。後よろしくね。』
俺がびっくりして固まっていると、後ろから高杉先輩が俺の携帯を覗き込んだ。
「そうか。結城。お前の両親は数日いないらしいな。今週末、お前の家に泊まり込んでも、何の問題もなさそうだな。」
そう言って笑っている。
・・・高杉先輩・・予知能力でもあるんですかっ・・・
そんなことを思いながら、俺は仲間と共に、買い出しや家での準備に向かった。
掃除は親がして行ってくれたらしく、綺麗に片付いていた。
サークルの女の子たちが、先に俺の家に来てくれて、オードブルやつまみ、食事の用意してくれている。
もちろん彼女も。
「翔太君の家上がるの、何年ぶりかなぁ?」
そんなことを言いながら、他の子と楽しそうに話している。
今夜は・・・みんなこの家に泊まると言っていた。
彼女と少しくらいは・・・。そんな淡い期待を俺はしていた。