book(WEST)
□*一緒に、ということ
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「ごめん。」
『…ええよ。』
「でも…」
『ええって。』
繰り返す。
かれこれ10分くらい「ごめん」を言い続けている。
こちらに顔を向けない流星は、泣いているのだろうか。
発表の前に流星と会わなくてよかった。
こんなに小さくなっている流星を見た後に笑顔でデビュー発表なんて、出来るはずがない。
……さっきの発表んときも、だいぶ引きつっててんけどな。
事の始まりは、3ヶ月前。
小さな個室に集められた俺たち7人は、デビューの決定を告げられた。
カウントダウンコンサートでデビュー報告をすると聞き、俺たちは相当な喜びようだったと思う。
ちょうど7人での活動も増えてきた頃で
7人でコンサートの枠を貰えるというのは、今後も7人での活動を約束されていることを意味している気がした。
心地の良い7人の距離。
そして何より流星がいる。
個室を出ると自然と隣に流星がいて、肩をぶつけて笑い合った。
しかしそこから数週間後、再び同じ個室に集められた7人は、カウントダウンコンサートへの出演が無くなったことを告げられる。
「なんやねんもう!」「騙されたわ〜」
個室を出て文句を言い合った。
出演が無くなった事実は変えられないけれど、「やってやる」という反骨心は、生まれていたのだと思う。
「まっ、次の収録は頑張ろうな〜!」という照史くんの声に、皆それぞれ決意を抱いていた。
なのに。
”売れたいから、7人で頑張りたい”
こんなにきらきらとした思いでさえ、神様は簡単に奪ってしまう。
そんな世界の残酷さを、俺たちは知ってしまうのだ。
俺たち。
シゲ、照史くん、淳太くん、そして俺の…4人だけが。
「やっぱりカウントダウン、出ることになったから。」
様々な事情で予定がころころと変わるのはもう慣れっこである。
でも。
「なんで、4人しかおらんの。」
小さく呟いた淳太くんの声は、明らかに動揺していた。
「3人は遅れてるんすかね?」
明るく振る舞うシゲも、異変に気付いていることは手に取るように分かった。
しんとした部屋。
張り詰めた空気の中、
カウントダウンコンサートにはこの4人で出ること、
そして、
”ジャニーズWEST4”として、4人でデビューすることが告げられた。