キミと一緒に

□3話目
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「…ん…?」
(…あぁ、気を失ったんだっけ…)
目が覚めると、真っ先にそんなことを思った冷静な自分がいて。
体のベタつきも全然感じられなくて、ゆったりとした服も羽織られていたから、煌くんが綺麗にしてくれたんだ…なんて昨日のことが嘘みたいな感覚になった。
でも、今何時だろうと時計が置いてあるベッドの上に手を伸ばそうとした時、ズキンと体に痛みが走ったことで、あれは夢じゃないんだって再認識して。そして、腰に回された腕があることに気が付いた。
(…ヤバい。動けない…)
今日の講義出れそうにないかなぁ、なんてぼんやり考えていると後ろでモゾモゾと煌くんが動いた。
「ん…紗英子…?」
「…おはよう?…あの…」
「はよ…体痛い?」
きっと顔も向けずに返事したからだろう、煌くんが耳元で聞いてきた。
さっきまでの冷静な自分はどこへやら。一気に恥ずかしさが込み上げてきて、でも動けなくて。観念した私は正直に告げるしかなかった。
「……動けません…」
「…だろうな。ま、今日はゆっくりしとけよ……聞きたいこともあるし」
そう言うと、煌くんは起き上がりベッドから離れていった。
私は辛い体に鞭をうって、ゆっくりと反対を向き煌くんの姿を目で追った。


昨日のあんな姿は初めてで、初対面の印象なんて比にならないくらい怖かったのは正直なところ。ましてや、ゴム無しなんてこれまでの煌くんからは考えられなかった。


(聞きたいことって…やっぱ大輔くんとのことだろうな…)
ここまできたら、もう隠しておくなんて出来ないのは目に見えてる。
心の中で小さく溜め息をつき、覚悟を決めるしかなかった。


煌くんは冷蔵庫から水を取り出して、すぐにベッドに戻ってきた。
「喉渇いただろ?飲める?」
「…ありがと。…でも、今動けないから…っ」
そう言うと、煌くんは自分の口に水を含み、そのまま私に口付けた。
思った以上にカラカラだったらしい喉は、流された水分を求めた。顔に出てたんだろう、その行為は数回繰り返された。
自分が凄く大胆なことをしたような気がして、顔がカァっと赤くなるのがわかった。
そんな私をいつもの鋭いけど優しい眼差しが捉え、そっと髪を撫でてくれた。
「マシになった?」
「うん…」
そしてちょっと目をそらした彼は、意を決したように真っ直ぐ私を見下ろした。


「……昨日の続き。アイツが言ってた束縛って…どういう意味?」
いきなり核心を突かれ、私は息を飲んだ。
だけど、煌くんの視線は逃がしてくれそうにない。
私は小さく深呼吸をして、当時の事をぽつぽつと話しはじめた。
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