Silver Osmanthus

□Silver Osmanthus
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コンコンーガチャ

「たくー、聞いてー。また彼氏できた!」
「麻紀、お前返事してから入ってこいっていつも言ってんだろ!?」
「いーじゃん、別に!それより聞いてってば!あの、レオ先輩と付き合うようになったんだってば!」
「…………はぁ!?」

一応ノックをしたものの、間髪入れず部屋に入ってきたこの女は、オレの幼馴染みの麻紀だ。
家も隣同士で、昔から家族ぐるみの付き合いをしているせいか、高校生になった今でも時間なんて関係なく、当たり前のようにオレの部屋に上がり込んでくる。
見た目が派手でいつも際どい服を着ている麻紀は、今日も見せブラをちらつかせ、これでもかというほど短いホットパンツを履いている。
チビのくせに胸はあるから、谷間ががっつり見えて毎回目のやり場に困るのだ。
そして、高校になってから男関係まで派手になりやがった…。

「……そのレオ先輩ってあれだろ?節操なしで有名な……」
「みたいだよね、でも告ってきたのは向こうだしー。一回くらい付き合ってみても悪くないんじゃない?って思って」
「おまっ……これで何回目だよ!?続いた試しねぇじゃんよ、てか先輩は駄目だ!」
「だって、次こそって思ってもダメなんだもん。ってか、たくにそこまで言われたくないし」
胡座をかいて頬をぷくっと膨らませながらそっぽを向く姿は可愛いが、思春期の男の前でそれはヤバイだろ。相手がオレじゃなかったら絶対押し倒されてる。
かくゆうオレもかなりヤバイ。

………もう、お分かりかとは思うが、オレは麻紀のことが好きだ。
だけど告白する勇気もなく、いつも麻紀の相談相手というかノロケ話に付き合わされている。

「……お前さ、ほんといい加減に…」
〜♪〜
「あっ、電話だ…もしもしー?あ、先輩!………え、今日?了解ですー。………ってことで、たく、またね」
「は?……おいっ!」
電話を切ると同時に、麻紀は立ち上がりさっさと部屋を出ていった。
オレはもう追いかけるのも馬鹿らしくなって、ため息をつきながらベッドに寝転んだ。
「………いい加減、オレを意識しろよな…一生大事にするのに……」
本人の前では言えない言葉を呟きながら、心に引っ掛かるのは麻紀の相手のこと。
レオ先輩は、学校でも有名なプレイボーイってだけじゃなく、裏で危ない店に女を連れ込んでクスリやってるとか、なんか黒い噂も聞こえてきてる人物だ。
麻紀はたぶん、そんな噂のことは知らないんだと思う。
今夜会うような話をしていたからやっぱり心配にはなるけれど、着いていくなんて野暮なことはしたくない。
悶々としながら、オレは部屋で過ごしていた。
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