リナリア

□03 戸惑い
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_土曜日 夕方_

「楽しかったー!今日はありがとね、優樹」
「どういたしまして。でも、やっぱ凄い人だったよな。あんま乗れなかったんじゃねえの?」
「ううん、目当てのは乗ったし楽しかったよ!久しぶりに優樹とも会えたしね」
「なら良かった」
瑠依は以前約束していたデートを楽しみ、仲良く手を繋いで帰っていた。
瑠依の家に着く手前でしばらく立ち話に花を咲かせ、そっとキスを交わし優樹は帰っていき、瑠依も家に入っていった。
遠くの角からそんな二人の姿を眺めている者がいた。
キスを交わし会った瞬間、見ていられず唇を噛みしめその場を離れた。



月曜日_

「水瀬」
朝、瑠依が教室に入ると尚弥に声を掛けられた。
「…何?」
「今日の放課後付き合って」
「………何で」
「周辺案内。この前頼んだろ?」
「それは……断ったじゃん」
「オレはお前がいいって言ってんだろ?早く馴れてーんだよ」
「………うぅ…わかったよ……」
瑠依は、渋々了承した。
「瑠依?あんた、アレ以外に何か神崎くんを怒らせたの?」
「してないよ…てか、アレは私の方が怒る事件でしょ?」
「………ま、優樹くんに誤解されないようにね」
「………うん」


そして放課後、学校周辺を二人で歩いていた。
「周りはこんなものかな…あとは、結構ウチの生徒の出没…っていうか放課後に行ってる頻度高いのが、PALかな…」
「あぁ、あのショッピングモールみたいな?」
「そうそう、学校から近いし、何軒かお店入ってるから買い物、食事、待ち合わせとか。他の学校の子もいるけど、割合はウチの制服多い…」
「じゃあ、今から行くか」
「えぇぇー!?何で!もう案内したじゃん!」
「別に暇だろ?もう少し付き合えよ。誰に見られたって平気だろ?」
「…そりゃ、見られてマズイようなことはしてないけどさ、できたら余計な誤解とか与えたくないんだけど…」
「うっせ。ほら行くぞ」
そう言って、尚弥は瑠依の腕を取り歩き出した。
「ちょ……っ、わかったから離して。お願い」
尚弥は瑠依を一睨みするも、素直に離した。
そして二人はPALへと向かった。
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