グリムワール学園
□第2章 理由
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シーン……
長い沈黙を破ったのは謳歌だった。
「…とりあえず、整理する時間を頂けませんか?私は……。」
ル「…ごめんね。僕達はいつも貴女に悲しい顔をさせてしまうね……。本当に…」
ルカは悲痛に歪んだ顔を無理に微笑ませとても申し訳ないと言う顔をしていたのだった。
ラ「……謳歌、さん。部屋を用意するからそこに居てくれないかな?学園の中でも危険な存在は少なからず居るのが現状。貴女を1人で歩かせる事は危険すぎるから…」
「……。かまいません。無理を言ってごめんなさい。」
ミ「私達こそごめんないね?ただでさえ混乱する状況にいるのに…」
「…いいえ。」
ラ「…じゃあ、こっちに来てもらえるかな?」
コツコツ…ガチャ…
ラ「ここの部屋を使って?何か欲しいものがあれば言ってね…じゃあ…。」
ラファウは生徒会室の近くにある手頃な大きさの部屋を用意した。部屋には中くらいの窓があり椅子と机、本棚が置いてあるシンプルな作りだった。
「…どうしてこんな事に?…ごめんなさい兄さん。心配をかけてしまうね…」
窓辺に椅子を持って行ってから椅子に座り外を眺めながら静かに目を閉じ考えていた謳歌に訪れた変化それは、見たことが無いはずなのに何の違和感もなく外を見た事。そう、謳歌は見たことがあり特に驚く事はなかったのだ。
「…見たことが…ある?」
「来たことがないのに、知らない場所なのに、どうして、見たことがあって懐かしいと思ったの?自分は何なの?」
「…兄さん…兄さん……兄さんなら何か知っているの?私が知らない事何でも知っていた兄さんなら、私が何なのかわかるの?」
謳歌は不自然な感情を抱き不安になったのだ。兄には教えてもらった事は無い。兄は知っていたのか?知らないのか?
自分は何者なのか急に押さえていた感情があふれた。身体は小刻みに震え目からは涙があふれ止まらなくなってしまう。
「…兄さん。私は、ダメだ。私は迷わないって、泣かないって、兄さんに心配をかけないって誓ったのに…」