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□たどり着く先に
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ある日の夜のこと。
人気のなくなった、静まりかえった街をフランは任務のため歩いていた。
街に入った時はそれ程感じられなかったが
先ほどから体中に纏わり付くような感覚がする、
というのは、確実に敵の殺気だろう。
というのも、フランが歩いている街の表通りの辺りに敵が出現しやすい
という情報をこちらに来る前に気を利かせた部下から聞いていたからだ。
しかし、こういった任務をいやなほど重ねれば、
敵から浴びせられる突き刺すぞといわんばかりの殺気から
どこにいるのかという位置や人数、状況下といったことなどは
少しくらいだけ把握できるようになる。
だが、このまま殺気を受け止め続けるのも、敵をこれ以上野放しにするのも任務上よくないと思ったフランは
少し歩くのを速め、敵をこちら側に引きずり込む作戦へと出る。
敵は逃がさないといわんばかりに、敵意をむき出しにして追いかけるのを
フランは背中越しに確認し、敵の殺気ごとそのまま自分へと誘導すると同時に自分に向けられているものから辿って敵の人数を分析する。
(あー、これは数にモノ言わせてますねー)
殺気から感じるに、人数は4〜5といったくらいだろう。
(そのくらいの人数がいれば、ミーひとりくらい倒せるとでも考えたんですかねー?)
頭のでそう考え、念のためいつでも襲い掛かられても良いように
敵を始末するだけの幻術を着々と構築して
そのまま大きな裏の通りまで突き進んだあと、
ピタ、と動きをとめて後ろに踵を返すようにくるりと振り返り
「すみませーん、殺気がいたいでーす」
というかーすごくバレバレでーすと
振り返る際に敵に気づかれることなく幻術で構築した
プラスチック素材からなる黄色のミニメガホンを使って
わざとらしく大声で言えばそれは予想以上に辺りに響き渡った。
その直後のこと、数十秒も掛からぬうちに敵は戸惑うことなく
建物の上や通りの道はずれなどから
次々にフランの小さな体をぐるり、
と囲うように距離を少しあけて
姿を現してうす気味悪くニヤニヤと薄汚く笑った。